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ねえちゃん姫 あの夜以来、尽はの所にやってきませんでした。 それは、寂しくもありましたが……少し、ほっとしてもいました。 だって、尽に会って、以前どおりの態度を取る自信がなかったのです。 あんなに激しく求められて、それに抵抗できず……いえ、抵抗できなかったというよりも、抵抗するまでもなく受け入れてしまったのです。 それに……『姉弟であるふたりが結婚できる可能性』。 は、尽のその言葉を、あれからずっと考えてみました。自分にできる限り、調べても見ました。 でも、には、尽の言う可能性がどういったものかさっぱり分かりませんでした。 の知る限り、親兄弟、血筋の近い者の婚姻はこの国だけに及ばず、近隣のどの国でだって認められていません。王族に限らず、一般の民であっても例外なく。 たちの住む所には明文化された法はないのですが、親兄弟が結婚できない……してはならない事は、小さな子供だって分かっています。例えば呼吸をしなければ人間が生きていけない事を知るのと同じように。 その当たり前すぎる決まりごとを覆す事を、尽は考えているのでしょうか? 覆せるのでしょうか……? 尽は、が旅行から帰ってくる頃に、結論が出ていると言います。 それなら……それまで、その結論を聞くのを待っているのもいいかもしれません。 尽のあの自信満々な態度からすると、その結論は、きっと、良い方向に出るのでしょう。 は、尽を信じています。 そうしたら……どうしよう? は、完全な戸惑いを覚えながらも……期待に胸をくすぐられる想いで、父王とともに、旅行に旅立つのでした。 尽の言う通り、離宮に着いたのは、朝早くに出てお昼になる前でした。 王族用に設えられた馬車は広いとはいえ、さすがに半日も乗っていては窮屈でしかありませんでした。 やっと、その窮屈な馬車から降り、離宮を目にたは歓声をあげました。 緑に囲まれた白壁の離宮、そうしてその目の前に広がるのは、満々と水を湛えた大きな湖。 昼の明るい陽射しを反射した湖面が微かな風に波打つたびにキラキラと輝いて、それが離宮の白壁に映り、微妙な影をその全体に揺らめかせます。まるで、お城全体が煌いて、波打っているようでした。 こんな光景、見た事がありません。 の目もまた、きらきらと輝きます。離宮でのこれからしばらくの生活の期待で。 離宮の中も、また、美しいものでした。 壮麗という言葉を王の座するあの城に当てはめるのならば、この離宮は優美という表現が当てはまりそうです。 決して広くて豪華はないのですが、全ての調度品が品よくそろえられ、落ち着いた優しい色彩で統一され、まさしく静養にはぴったりの穏やかな雰囲気を漂わせています。 案内されたの部屋も勿論、草木の優しい色合いに満ちた心落ち着かせるような優しい香りのする部屋でした。 離宮のメイドたちが荷物を片付けるのを手伝おうとした結果、丁寧にお断りされ……結局、は部屋の整理が終わるまで、手持ち無沙汰に部屋を出る事にしました。 離宮に入ってすぐに執事がに簡単に説明してくれた言葉によれば、離宮と離宮の周囲は民家から程遠く、森に囲まれているため、他所者は立ち入れず、森の奥深くに入りさえしなければ、どこでも自由に出歩いても大丈夫との事。さすがに、湖にひとりで行くのは危険だと言われましたが。 父王の部屋はの部屋からさほど遠くない位置ですが……馬車の長旅で父王が疲れて休んでいるだろうと考えたは、父王には夕食の時に挨拶するとして、まず、庭に出てみる事にしました。 「王女、散策なさるのは結構ですが、くれぐれも離宮内と庭園内にとどめおきくださいませ。貴女に何かあってお叱りを受けるのは……」 荷物を片付ける指揮をとりつつ、に釘を刺すのを忘れない目付け役の志穂の言葉に「はぁい」と返事をして、は離宮の廊下を歩き出しました。 離宮の造りは城よりも分かりやすく、しばらく離宮内を彷徨っていたはすぐに庭への通路を見つけました。 というか……何故でしょう、時々、は、この離宮の各所に奇妙な既視感を覚えるのでした。 来た事なんて、ないはずなのに……。 色鮮やかな花と緑に囲まれた庭園は、手入れがよく行き届いていました。綺麗に刈り込みがされた木や美しさが引き立つように植えられた花々。 は、思い切り空気を吸い込んで、しばらくきょろきょろとあたりを見回して人目がないと確認した後、くすっと笑って、靴を脱ぎました。 ひんやりとして、少しちくちくもする芝の感触に素足で触れます。 「ちょっとちくちくするけど……気持ちいいな」 一歩二歩と恐る恐る歩いて……それから、はスキップでも踏むように、芝生の上を歩き出しました。 お城の生活にも随分慣れてきていましたし、散歩に歩くお城の庭園の広さは、この離宮のそれと変わらないくらいですが……やはり、お城での生活がいかに窮屈なものであったか、改めて思いました。 清清しい空気を一杯に吸い込んで、久しぶりに味わうような開放感に、は離宮の庭園を走り回りました。 着ているドレスはやはり窮屈なままでしたが、それでも、心は解き放たれて、伸び伸びしていました。 そうして思うのです。 「やっぱり、尽と一緒に来たかったな……」 庭園の端の方、大きな湖の見えるそこで大きく伸びをしながら、は呟きました。 きっと、尽と一緒ならもっとずっと楽しかっただろうな、と、思います。 自然に囲まれたこんな所で、尽と新しい発見をしたり、他愛無い事で笑いあったり。 それは、きっと、かつて、ふたりがまだ何も知らなかった頃に過ごしたあの荘園での日々のようでしょう。 これから父王と過ごす離宮での生活は、のんびりと穏やかなものでしょう。 そういう日々も、は好きです。父王とずっと一緒にいられる事も、嬉しいのです。 けれど……は贅沢な事を考えてしまう自分に苦笑しました。 そこに尽や親しい友人達がいたら、とても幸せだろうと。 まさか、そんな事、父王には言えませんけれど。 「お庭でひとりで駆け回るのも、ちょっと虚しいかも」 爪先で芝を蹴って、ふぅとため息。 花園に続く入口の花のアーチをくぐって、花々に見惚れながら歩き回ります。少しの寂しさを感じて。 あまり見ない珍しい花々、色鮮やかな花々、薫り高い花々。 はそれらの花々を夢中になって見回していて、足元にまったく注意を払っていませんでした。 いえ、別に、注意を払うような必要も感じていませんでした。 ですので……。 「……っ!? え、あっ……!?」 何か柔らかなものに躓いて、思い切り前傾して転びかかって……地面とぶつかる、と、思った瞬間。 「っ!!」 何か、暖かいものに抱きかかえられていました。 どきどき、と、驚きに鼓動だけが脈打っています。 そうして。 「大丈夫か?」 耳元で囁かれた低い声に、驚いて、驚きすぎて……。 「ひゃぁぅ!?」 悲鳴をあげて、自分を包み込む暖かな存在を突き飛ばしていました。 「……っ! ……おまえ……」 一瞬後、ははっとするわけですが。 自分のすぐ真横に倒れ込んで、斜めから自分を見上げてくるその緑の眼差しに、どうしようもなく記憶を、刺激されました。 転んだ自分、それを助けてくれた存在。 自分と年のそう変わらない、青年、でした。 色素の薄い髪と、緑の目をした、整った美貌の青年は、表情の読みづらそうな顔に、少しの戸惑いを見せてを見詰めていました。 「ごっ、ごめんなさい! あんまり、びっくりして……その……」 いつか、尽と再開したときも、こんな感じだったかも、と、ちらりと心のどこかで思いました。 けれど、は思い出に浸る前に、目の前の青年が自分を見詰める眼差しが尋常なものではないのに気が付いて、困惑してしまいました。 「……え、と? あ、あの……ごめんな、さい……? あの……??」 「……いや……そうか……やはり、生きて……」 「え? ……っ!」 青年は、微笑みました。 見事なくらいに、鮮やかに笑い……の目を釘付けにしました。 それから、声を出して笑うのです。 「そういう、事か。ああ、なるほど……」 わけが、わかりません。 もしかして、青年は情緒不安定!? とか、思ったりしましたが……顔からスタイルから、ケチのつけようがないほどに均整が取れた青年に、は見惚れ……かすかな胸騒ぎを覚えるのでした。 「………姫?」 笑いを収めた青年が、微笑みながら問い掛けるのに、はこくんと頷きました。 初対面のはずなのに、何故自分の事を知っているのでしょう? 「俺は……」 自己紹介をしかけて……やめます。 「ここの離宮の客。夕食の時に、紹介できると思う、多分」 立ち上がりながらそう言い、の手を引いてそっと立たせてくれました。 「また、後で。お転婆姫……」 くすっ、と笑い、青年は立ち去っていきました。 豪華ではないですが、品のいい衣服に身を包んだ、立ち居振舞いの上品な青年は……恐らく、上流階級の人間。 この離宮の客だというからには、いずこかの貴族に違いありません。 は、青年の後姿を見送った後、首を傾げました。 「私、どこかであの人に逢った事がある……?」 懐かしい気がします。 あの青年の口調や、微笑み方、何より、あの眼差しは、どこかで見た気がします。 けれど、どうしても思い出せません。 は、尽に会った時とはまた違う懐かしさを感じていました。 「あの人は、一体……?」 微かな胸騒ぎがします。 は、日が大きく傾いて、目付け役の志穂が心配して探しに来るまで、花園でぼうっとしていました。 日暮れが近づき。 城の自室とはまた違う居心地のいい部屋で、は衣服を着替えてから、夕食へと向かいました。 夕食の席には、上座に座った父王の傍にの席がしつらえられて、その対面にいたのは……あの青年でした。他にも、父王に従って離宮へと赴いた幾人かの貴族の席もありました。 半分諦めてはいましたが、離宮滞在中、父王と水いらず、というわけには行きそうもありません。いえ、城にいる時よりは、ずっと傍にはいられるでしょうが。 全員が席につくと、父王がそれぞれに言葉を向けます。 席に着いている貴族は、まだ存在を公にされていないでも顔を見知っている程度に、王族に近い者達でした。ただ、ひとり、の前の青年を除いて。 父王はに声をかけた後、最後に、青年に声をかけます。 「休養を兼ねた滞在、くつろがれておりますかな? 今しばらく、こちらに逗留されるととの事で、皆に紹介しておきたいが、よいかな?」 他の貴族達相手とは違い、格段に丁寧な父王の青年への応対に、は首を傾げました。 何者なのだろう、と。 青年は、静かに「はい」と答えると、立ち上がりました。 貴族達は青年が何者か知っているようで、歓迎するような表情で青年を見ています。 「わが国と西の境を接する隣国の世継ぎの君、珪王子だ」 隣国の……王子!? は、驚きながらも、ああやはり、と妙に納得してしまいました。 生まれながらの気品のようなものが、青年から感じられたからです。 「皆も存じておると思うが、しばらくの間、こちらの離宮に休養として滞在される。王子は、騒がしいのが苦手だそうだが……」 幾分冗談っぽく言う王の言葉に、貴族達の笑いの漣が広がり、珪王子も唇に笑みを乗せました。 「何事にも秀でられておると、その優秀さは折り紙付きだ。狩りでも音楽でも、皆の者も、何かあれば王子に教えを乞うとよいだろう」 持ち上げられるのが苦手なのか、珪王子は、困惑した表情に失笑を浮かべていました。 「そうそう、珪王子。そなたへの紹介が遅れたが、目の前にいるのが我が娘、だ。事情があって、野育ちで、そこらへんの姫よりは快活にできておる」 茶化すような物言いと、に向けられた優しい眼差しに、はくすくす笑ってしまいました。 また、貴族達も、微笑ましく笑います。 「暇があれば、相手をしてやってくれまいか。も……」 にっこり笑う王様の瞳に、口調に、何か含まれたものがあるのに気付きはしましたが……。 「王子に話相手になってもらいなさい。珪王子はこちらの離宮を時折訪れられるから、ここには詳しい」 微笑みながら、じっと自分を見詰める珪王子の穏やかな眼差しと出会ってしまって……慌てて頷きました。 隣国の王子、珪。 どこか懐かしい人。 そして……を戸惑わせる、不思議な存在。 王の、乾杯の合図で、食事は始まりました。 賑やかで、楽しい食事です。 王が連れてきている貴族達は、皆、には好意的な面子ばかりですので、ものびやかに時間を過ごせました。 ディナー中はあまり珪王子と話す事は出来ませんでしたが、夕食後、お酒が入り、それぞれに席を移動して歓談を初めにかかって、お酒の苦手なは軽い果実の飲み物を持って、夜のテラスで涼やかな夜気を吸い込んでいました、 テラスからは、木立の合間を縫って、夜の湖が見えました。 星々の光が真っ暗にも見える湖面に映って、夜空がもうひとつ出来上がっているようです。 夜を渡る風に、ざわざわと木々が揺れ、城よりも随分肌寒いそれに、は少し体を小さくしました。 「尽と、一緒に見られたら、楽しかったかも……」 最近、いつもの頭にふと浮かぶのは、尽。 尽の笑顔、尽の声、尽が自分に向ける優しい眼差し。 時々自分をからかったり、年下らしく拗ねたりもするけれど……それら全て、尽の事が頭から離れません。 こんな所に一緒にいたなら、尽はどういう風な態度で、どういう風な事を言うだろう、と、ついつい考えてしまうのです。 は、こんな時の尽の反応を色々と考えてしまい、くすっとひとり笑いを漏らします。 が、そうしてひとり、夢想にふけっていると。 「……姫?」 「っ、あ、はいっ!?」 突然、傍から低く囁くような声で声をかけられて、現実に戻ったはびくんとしてしまいました。 慌てて振り向いて、そこに、珪王子を見つけます。 「あ……珪王子?」 がテラスに出てくる前に、貴族の顔見知りらしい人間と話をしていたのですが、それを切り上げてきたようです。 両手に、湯気のたった飲み物を持っています。 「暖かいお茶。……寒く、ないか?」 瞳を細めて緩やかに笑い、に飲み物を渡します。 「あ、ありがとうございます」 暖かなカップの感触に、自分の指先が随分冷えてきていたのを感じたは、心から微笑みました。 珪王子は、そんなに笑いかけ、テラスのの傍の手すりに寄りかかりました。 「なぁ、おまえは……覚えてないのか?」 「……え?」 お茶を口に運んでいる間の、唐突な問いかけに、は首を傾げました。 「子供の頃の、事」 「??」 は更に首を傾げます。 困惑しているを見て、珪王子は苦笑を深くしつつ、何かとても愛しいものを見るような眼差しで夜空を見上げ、静かに囁くように言いました。 「……手入れの行き届いた緑の芝生。綺麗に咲き乱れる花々。幼い子供ふたりが、そこで、じゃれあって……指切りを、するんだ」 「……あ……っ!?」 「『もっと大きくなったら、迎えに来るから』」 あれは……夢。 夢………だけの、夢のはずで……。 けれど、夢かもしれないとも思い……。 「あ……もしか、して……」 もしかして、やっぱり、あれは夢じゃなくて。 は、目の前で自分を柔らかく見詰める珪王子を唖然として見てしまいました。 「忘れた事なんて、なかった、俺。あの約束が、気になっていた、ずっと。あのお転婆な姫が死んだと聞いても、それを信じられず、あれから時々、この離宮にやってきてて……」 嬉しそうに、とても優しく微笑んで見詰める珪王子に、は頬が染まってくるのを感じ、両手で頬を挟み込みました。 夢じゃなかった。 あれは、やっぱり、幼い頃の記憶だったのです。 そう、は、幼い一時期を、この離宮で過ごしていたのです。 この離宮の各所を懐かしく感じたり……珪王子を懐かしく感じたりした理由が、これで、分かりました。 夢の男の子が、今、成長して目の前に、いる。 優しく自分を見詰める珪王子の整った顔をおぼろげな記憶の男の子と重ねます。 記憶は、あまりに色あせて、掠れていますが……珪王子があの夢の男の子である事は……間違いなさそうです。 鼓動が、どっどっどっ、と、音を立てて早まってきているのが分かります。 懐かしい、そう思うより、ずっと夢に見た男の子が目の前にいる、それがとても不思議に感じられます。 現実とは思っていなかった、夢から飛び出した男の子が、こんなに成長して、現実に目の前に現れて……。 「約束……覚えて、いる?」 小指をそっと差し出す珪王子に、は戸惑いながら頷きました。 差し出された小指が……先日、尽とした約束をも思い出させます。 ――俺の先約は、絶対誰にも譲らないから。ねえちゃんに最初に印をつけたのは、俺だから。それを、忘れないで欲しい。お願い。 真剣で切なそうな表情の尽。 もしかして……尽は、ここで、が珪王子と会う事を知っていたのかもしれません。 聡い尽の事です、もしかしたら……の夢の事、この離宮の事、珪王子の事……全てを予測した上での約束だったのでしょうか? 「私……でも……」 『大きくなったら迎えに来る』 子供心でも、その意味は把握していた気がします。 それは、つまり……将来を誓う言葉。 は、戸惑い、怯える瞳をしていたかもしれません。 珪王子は、くすっと笑いました。 「子供の約束、だからな……」 差し出した小指を引っ込めて、夜空を見上げます。 少し、切ない表情にも思えます。 この人は、ずっと、幼い頃の約束を覚えていて、忘れる事ができずに……を待っていたのでしょう。 成長したを、一目見て彼女と理解できるほどに、珪王子はを待ちつづけてきたのでしょう。 ツキン、と、胸が痛みます。 には夢でしかなかった出来事が、現実だと突然分かっても……すぐに受け入れる事はできません。 ただ、珪王子の想いだけは、伝わってきました。 そんなの葛藤に気付いているのでしょうか、珪王子はを振り向いて、とびきり優しい微笑を見せました。 「なぁ……色々、話したい事があるんだ、おまえに。今晩は、もう遅いから……明日、時間を作ってくれないか? そう……この離宮を散歩しながらでもいい。ここには詳しいから、俺」 好意の言葉に、も頷きました。 まだ……自身の想いは乱れています。 珪王子が夢の王子様だった事。幼い頃、珪王子とした約束の事。……それから、尽との約束も……。 ただ、父王の傍で穏やかな時間を過ごすためにやってきた離宮で、まさか、こんなに心乱される事態と遭遇するとは、考えてもみませんでした。 夕食の会がお開きになり、も乱れる心のまま自分の部屋に戻り……ほとんど、眠れないまま夜を過ごしました。 本当なら、尽に手紙を書きたかったのです。この離宮の素晴らしさや感動を、尽に伝えたかったのです。けれど、机に向かってペンを手にしても、思い浮かぶのは、珪王子の事ばかりで……。何となく、珪王子の事を尽には伝えられそうもなくて、結局、無事離宮につきました、と、ペンを走らせ、少し考えてから……『私、尽との約束、忘れないから』と、書き添えました。 手紙を書き終え、ゆるゆるとベットにもぐりこみ……一晩、ぐるぐると色々な事を考えて、想いを整理しようとしましたが……それは、どうにも上手くまとまってはくれませんでした。 珪王子。尽。それぞれとの約束。 誰かにアドバイスを仰ごうとも、今は、誰にも聞けません。 育った荘園の友人達の事を思い浮かべ、は悲しくなりました。 「ねぇ……なっちん、たまちゃん、瑞希さん………私、どうしたら、いいのかなぁ?」 つづく |
<言い訳>
・・・・・・・・。
えーと。
尽の誕生日に更新したのですが・・・。
・・・・尽、出て、ませんよねぇ・・・・(汗)。
というわけで、初登場の珪王子でした。
ねえちゃんの夢が現実のものであった事が分かり、
指きりの約束をした相手が珪王子で・・・
尽との約束はどうなるのでしょうか?
今回から数回は、尽の登場ナシデス・・・。
代わりに珪くんが出てくださいます。
次回は、ねえちゃんと珪王子との離宮での生活と、
ねえちゃんの心の葛藤のお話です。