猫少年Z

]T.種馬?


 結局……事情も半分ほどしか解明されず、ゼフェルは猫に戻り、いつもの生活を続ける。

 が、日常に戻る、その前に……。

 ぐ、にゃ〜〜!!

 う゛み゛ょぅう〜〜!!

 ふ゛に゛ゃああぉう〜〜〜!!!

 快晴に響き渡る怪声。

 何の声かって?

 そりゃ、もう……。

『ランディのお仕置きフルコース・アンジェリークの二人を見守る暖かい眼差し付き』

 アンジェリークに微笑ましく見つめられていちゃぁ、ゼフェル、抵抗できやしません。

「ふたりとも仲良しさんね♪」

 この誤解は、多分永遠に解けまい。

 ちなみに、連休を終えて寮に帰るランディの顔・腕・足と、肌の露出していた部分各所に、バンソウコウが貼りついていたのは言うまでもない。

「やっぱり男の子の友情は、夕日で、殴り合いで、仲直りで、傷だらけの青春よねっ!!」

 ひとり、力説するアンジェリーク。

 ――一体、何年前の話?

 


 

 あの日から数日。

「ねぇ、ゼフェル、結局、あなた、どうしたら人間になれるわけ?」

 猫の姿で、ベットの上に寝ころがっているゼフェル、かったるそうに薄目を開けて、アンジェリークを一瞥。

「ねぇってば! あの日、あなたってば、変な事言い出すし、お兄ちゃんに邪魔されるしで、最後までお話できなかったでしょう? 前みたいに、ワープロででも書き出さない?」

 ゼフェルにずいっと詰めよって、鼻先10センチ程の位置から、寝たふりを決め込むゼフェルの額を軽く小突く。

 けれど、ゼフェルはテンデ無視。

 前足にのっけた顎を横にずらして、鼻先にかかるアンジェリークの吐息を避ける。

「ゼフェル?」

 アンジェリーク、いささかムッとして、取り澄ましたゼフェルの鼻をつまんでみる。

「……グニ゛ャウ!!」

 ゼフェル、低い声を出して、アンジェリークを睨みつけ、再び目を閉ざす。

 徹底無視を決め込むつもりか。

「ゼフェルぅ〜?」

 今度は、ゼフェルの掌にも納まるような小さな顔を、両手で頬のヒゲから撫ぜ上げて、目の上を通り、耳をぐいっと押し倒す。

 ……と、細目・吊り目、耳のない、妙な顔の出来あがり。

 遊んでいる?

 しばしの沈黙。

「……………………ぷっ……変な顔ぉ」

 ………………………。

 ………さらに、しばしの沈黙の後、ゼフェルの手が、すばやい動きでアンジェリークの手を払いのけた。

 きょとんとするアンジェリークに、フーーッ!! と、迫力こめて唸ってみせたゼフェルは、すっくと立ち上がって、ベットの端っこまで歩き、くるんと丸くなる。尻尾がぱたぱた大きく上下している。

 が、懲りないアンジェリーク。

 今度は、ベットに上がって、ゼフェルの傍に寝転がり、頬杖。

「ねぇ、怒ってるの? なんで? ここの所、ずっと機嫌悪いじゃない??」

 アンジェリークに、ゼフェルの男心の機微はわかりません。

 期待し、妄想までしたアレコレが果せなかった上、翌日、アンジェリークの目の前で、男相手にあんな事やこんな事をされたとあっては………。

「ゼフェル?」

 ――なのに、この激鈍オンナときたらっ!!!

 頭を小突くだけなら、許す。

 が……。

 尻尾の付根から首筋までの背骨のラインに指を這わせて、毛を逆立てて遊んでいるっ!!

「あ゛う゛に゛ゃあぅ!!!?」

「うふふ〜。タテガミみたい〜♪」

 ――こっ、このオンナはっ!!!

 溜まりかねて、寝たふりを止め、顔を上げたゼフェル。

 さっき以上に怒ってやろうと、目を険しくして、口を開きかけた………ものの……撃沈。

 うつ伏せで頬杖をつくアンジェリークの、大きく開いたパジャマの襟元から見えるものわ……!

 猫の視線に感謝だっ!!!

 ちゅーか、実態がタメの男だと分かっていても、姿が猫だからこそのこの無防備さ!

 ああ、人間に戻りたいと……アンジェリークと交尾したいと思うものの………猫姿のメリットも、捨てられませんっ!!

 真っ白な肌、細い首筋、くっきりとした鎖骨。それから……重力に従って、恐らく、通常よりもたわわに見える、ふたつの膨らみが…………。

 猫ゼフェル、ぽかーんと口開きっぱなし。涎、垂れてます。

「ゼフェル???」

 声を掛けられて、慌てて手で顔を洗うフリをするものの……ああ、視線だけは、く・ぎ・づ・け!!

 ――ナイスだぜ、猫なオレっ!!!

 猫姿になってより、苦節数年。久々に、オイシイ目にあって、ゼフェル、猫な自分を誉めまくり。

 ――そうか……猫の前では、オンナって、こんな無防備になるんだな……チッ、それじゃあ、もうしばらく猫でいてもいいか……!?

 良からぬ事を考えていたりして。

 もっとも……それこそ、猫の肉体じゃ、ナニもできませんがね。

「……………………ふぅ」

 アンジェリークは、ひたすら(一見)猫かぶりを決め込むゼフェルに諦めたように、小さく溜息をついて、ベットの上に座りなおした。(<ゼフェルの視線が名残惜しそうに、アンジェリークの胸元を追います)

「もう、いいよぅ……でも、また人間になったら、今度こそっ、ちゃんと話してね? じゃないと、もう、知らないからっ!」

 ぷっと頬を膨らませてゼフェルを睨みつけ、ゼフェルの頭をくりくりと撫ぜる。

 知らない……言っている割には、もう、後戻りできないほどにゼフェルの事情に深入りしているアンジェリーク。

 それが、どんな結果を引き出すかは……もう少し後の事。

 


 

 雨の日は、体がだるい。

 体中の毛という毛が湿気を多く含んで、じっとりぼわぼわになって、気分が悪い。毛繕いすれば、いつも以上に舌に絡まる毛が多いし、体に纏わりつく湿気が増して行く気がする。

 ヒゲも妙に重々しくて、頬に張り付いたままだ。

 関節と言う関節も、なんだがギクシャクしている気がする。

 とにかく……体中に鉛をつけたように重々しくて、鬱陶しいのだ。

 こんな日は、寝ているに限るっ!!

 と、ゼフェルは、一日リビングのソファーの上でお昼寝を決め込んでいる。

 アンジェリークは学校だし、パパさんは仕事。ママさんもお出かけの今日、とにかく暇で暇で仕方がない。(テレビをつけてみても、余計に気分が重くなるようなワイドショーばかりだし)

 朝寝して、ママさんが置いていってくれた昼食を食べて、また昼寝して……時々、窓の外を眺めたりして……そんな鬱々とした一日が終わるのは、アンジェリークの帰宅によって!

 アスファルトの上を行き場なく流れる雨水を跳ね上げて、車が家の前を通りすぎる。

 車のエンジン音は、繰り返す雨音のリズムをかき乱すから、あまり好きではない。けれど、時を置いて何度も繰り返す騒がしいその音さえ、いつしかリズムのようになって、夢うつつの意識はすぐになれてしまう。

 屋根や窓を叩きつける激しい雨音。軒や雨戸井から滝の様に落ち、コンクリに叩きつけられる雨の流れ。

 そして、また、車が家の前を通りすぎる。

 いや……今度は、車は家の前に止まった。

 静かなブレーキ音に、訝しげにゼフェルは耳をそばだてる。

 ――雨の中セールスか? 営業マンも大変だな……。

 と、うとうととした意識で思う。

 どのみち、この家は留守なのだから、営業マンもチャイムを鳴らしてすぐに帰るだろうと思った。

 けれど。

 聞きなれたリズムを刻む足音が、雨水を跳ね上げて近づいてくる。

 鍵を開ける音。

 ドアを開ける音。

 そして……。

「ゼフェル、帰ったよぅ!」

 雨の日でも、太陽を迎えるように元気な声が響く。

 ゼフェル、途端に耳をピンと立てて、起きあがって……同時に、何やら聞きなれない音(声?)に表情をしかめた。

「上がってください。お茶くらい入れますから」

「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

 男の、声だ。

 しかも、初めて聞く。

 耳に心地いい、通りの良い美声。

 イヤな、予感。

 ゼフェル、そろそろと玄関に向かい……。

「ゼフェル、ただいま♪」

 自分の部屋に戻らず、直接リビングに来たアンジェリークと出くわす。

 そして、その後ろに、イヤなものを発見する。

「へぇ、それが、君の言っていた猫か?」

 若い男、だ。

 それも、同性から見ても、相当ハンサムな部類に入る、いけすかない男。

 滅多に見ない程色鮮やかな赤毛と、極点の氷のような青さをした瞳。

 胸元を大きく開けた麻のセーターを素肌に着て、そこに銀のネックレス。足にぴったりした黒いジーンズ。左耳にはピアス。自意識過剰に近い格好でさえ、決まって見える。

 性格はどうだかわからないが、確実に同性に敬遠されるタイプだろう。

 ゼフェルは、男を見て、瞬時に的確な判断を下す。

 こいつは敵だっ!!!!

 と。

 恐らく、外れてはいまい。

 ――こいつ、一体、何者だ!?

 アンジェリークを睨み上げると、アンジェリークはにっこり笑ってゼフェルを抱き上げる。

「ゼフェル、この方、少し前の教育実習でうちの学校にみえてたオスカー先生。帰り道でばったり会って、ここまで送っていただいたの」

 言葉を終えないうちに、振り向く。

「オスカー先生、リビングこっちです。お茶、入れますから、ソファーに座っていてください」

 ――教育実習だ!? そんくらいの縁のオトコを、家に連れ込むか、普通!?

 ゼフェル、アンジェリークにソファーの上にそっと下ろされて、向かいがわに座る赤毛の男を睨みつける。

 が、猫の睨みが効くような男ではなかろう。

 男は、しばらく、しげしげとゼフェルを観察し、軽く肩をすくめて見せた。

「ほぉ、確かに珍しい色彩の猫だな」

 男にとって、ゼフェルはあくまで猫にすぎない。当たり前だが。

 アンジェリークは、その間に、キッチンでお茶などかいがいしく入れている。

 ――あのオンナ、自分ひとりの家に若いオトコを上がり込ませる危険性、ちっとも分かっちゃいねぇ! オトコは狼なんだぞっ!!!

 とかゆって、自分も何度かアンジェリークを襲いかけた前歴があるくせに。いや、だからこその実感?

 ――鈍くせぇオンナ!! もっと、自分の価値を弁えろっ!!!

 目の前の男に下心があると決めつけている。

 あながち、間違いではない。いや、もう、絶対。ちゅーか、確実。

 野生のカンって、オソロシイですね〜。

 ――こんな種馬男、家にいれて、無事ですむわきゃねぇだろっ!?

 種馬男。最適な形容詞であろう。

 ゼフェルは、目の前の男を睨み上げ、体の毛を軽く逆立て、唸る。

 フーーーッ!!

 とりあえず、威嚇である。

 が……。

「こらぁ、ゼフェルっ!」

 アンジェリークに小突かれた。

 ――この女〜〜!! 無防備なおめぇにかわって、オレが威嚇してやってんのにっ!! って、言ってる(?)傍から、かいがいしくお茶なんぞいれてんじゃねぇよっ!!

「お嬢ちゃん。さっきから、その猫、なんで鳴いているんだ?」

「きっと、焼きもち妬いているだけだから、大丈夫ですよ。引っ掻いたりはしませんから」

 ――焼きもち!? だっ、誰が、おめぇなんかにっ!!!

 いや、焼きもちだろう、どう見ても。

 ふたたび、にゃごにゃごと反論するゼフェルを見て、オスカーはフッと笑う。

「焼きもち、ね。お嬢ちゃんは、猫にももてるんだな」

 アイスブルーの瞳を細めて、アンジェリークに視線を移す。その瞳は、あたかも、高熱の青い炎……。

 落しモード突入!!!

 据え膳食わぬは男の恥、誰もいない(猫はいるが)家に案内されて、手を出さないなぞ、プライドが許さないのかもしれない。<どんなプライド?

「お嬢ちゃんは、可愛いからな」

 レベル1

「……綺麗な瞳だ。まるで、俺の魂を吸い込んでしまうような……」

 レベル5

「こんな雨の日にも、その輝きを失わない。いや……むしろ、雨の日だからこそ、か…」

 レベル10

「金糸の髪も、なんと輝かしい事か……。俺の心に絡みついちまう」

 レベル20

「地上に降りてきた天使のようだ、お嬢ちゃんは……」

 レベル40

「天使……いや、もしかすると、子悪魔なのか? その甘い色をした柔らかな唇が、俺を狂わせる……」

 レベル60

「ほら、こっちを向いて……俺を、俺だけを見つめてくれ。そうすれば、お嬢ちゃんにとびきりのご褒美をあげよう……」

 レベルMAX!!

 ゼフェル、なんだか、体中の毛が逆立って、しかも、鳥肌まで立って、動けない。

 ――こっ、こういうセリフを真顔で言える人間が、実際にいるか!? 

 愕然としているゼフェルをまったく無視して……頬を染めて呆然とするアンジェリークの顎に伸びる指先。

 カウント開始っ!

 10……

 アンジェリークの白い顎に指先が絡みつき、強く、捕らえる。

 9……

 そっと力を入れれば、アンジェリークの顎は簡単に上を向く。

 8……

 アイスブルーの瞳も、アンジェリークを捕らえる。

 7……

 上から覗き込まれ、アンジェリークは身動き取れない。そう、アンジェリークの心こそ、そのアイスブルーの瞳に吸い込まれかかっていた。

 6……

 片側の手で、アンジェリークの髪をこめかみからかき上げる。

 5……

 ふっと、唇を緩めるオスカー。甘い笑み、とはこういう事なのだろう。

 4……

 「目を、閉じるんだ……」

 3……

 囁くオスカーの低い声に、何故か、アンジェリークは魔法にかかったように、素直に目を閉ざす。

 2……

 小首を傾げたオスカーは、半眼を閉ざしてアンジェリークに顔を寄せて行く。

 1……

 そして………………………………。

 0……

「う゛わぁぁあ゛!?」

 薔薇色の世界は、あっさり壊れましたとも。

「え? あれっ??」

 デジャヴュ。

 そして、以前、どっかで見た光景が目を開いたアンジェリークの前にありました。

 猫の爪は、獲物を押さえ、決して逃がさない為、丸く鍵状に婉曲したモドリ状になっている。そして、牙も、獲物の肉を引き千切る肉食獣特有の鋭利な切っ先をしている。

 それで、全力でしがみつかれた日にゃあ!!

 しかも、場所が場所だけに……(笑)。

 はい、オスカー様、悲惨でした。

「ゼフェル!?」

 ぎょっとしたアンジェリークは、慌ててオスカーのソコにしがみつくゼフェルを引き剥がそうとするけれど……。

「ッ……ちょ、お嬢ちゃん……待った、待った……! う゛っ……!」

 モドリのついた爪が、ますます食い込んで……より、悲惨な事にっ!!

 ああ、使い物にならなくなったら、一体、世界中・宇宙中の何兆人のお嬢ちゃん方が哀しむ事か(爆)。<哀しむか?

 正しいモドリの外し方……ムリに引っこ抜こうとする程食い込みます。よって、ダマしダマし外して行く、と。

「ゼフェル? ねぇ、ゼフェルってば! どうしてそーゆう事をするの!?」

 頭をこつん。

「ぐ、う゛っ……」

 はい、こんなことしたら、更に食い込みます。いい例でした。

「お、お嬢ちゃん……その、できれば、迅速に外してもらいたんだが……(でないと、世界中・宇宙中の何兆人のお嬢ちゃん方が哀しむ事に……<なるか?)」

「は、はいっ……えっと……ゼフェル、ホラ、ね、えっと、今晩は、ゼフェルの大好きなチキンカレーにしてあげるから……それに、それに、ホラ! えーっと……」

 必死で説得を試みようとするアンジェリーク。

 けれど、ゼフェルには効いていません。馬耳東風もいい所です。

「……ぐ、ぁ゛……」

 それどころか、ますます爪は深く食い込んでいく。

「えーと、ね……じゃ、じゃあ、これから………」

 苦痛に歪んでいるオスカーの顔を見て、アンジェリークも焦っている。

 で、口から飛び出た言葉といえば……。

「これから、一緒にお風呂に入りましょう!」

 効果覿面。

 一瞬にして、ぽろっと、ゼフェルは床の上に転がった。

 キン○ョールを掛けられたハエのごとくに。

 と、同時に、オスカーもその場に座り込んだ。深い息を吸い込んで……。

「……………っ、お嬢ちゃん……折角お茶を入れていただいて嬉しいんだが……急用を思い出した。おいとまさせてもらうぜ……」

 いささか前かがみになりながら、オスカーはきょとんとするアンジェリークに、それでもひきつった爽やか笑顔を見せた。

「あっ、オスカー先生! 今日は本当にありがとうございました……。それと、すみませんでした……」

 しゅんとするアンジェリークにウィンクしてみて、肩をすくめる。

「君の優秀なボディガードにしてやられたようだ。次の機会には、ボディガード抜きにして話したいものだ」

 脂汗がつっとこめかみを流れ落ちる。

 あからさまに、ムリしてます。でも、アンジェリークは気付かない。

 素直にオスカーを玄関までお見送りして……

『っっつつ……てぇぇぇ〜〜!!!』

 と、激しい雨音にまぎれて聞こえてきた叫びに首を傾げた。

 


 

「ゼフェル?」

 リビングに戻ってきたアンジェリーク。

 ゼフェルの姿がないのに、首を傾げた。

「ゼフェル? ゼフェルぅ??」

 台所やゼフェルのお気に入りの家具の隙間も見まわして、それでも姿がない。

「あれ? ゼフェル、どこぉ?」

 と、遠くから、ゼフェルのハスキーな鳴声。

 どうやら……リビングの外、らしい。

 廊下に出て、アンジェリーク、お風呂場の扉の前に座り込むゼフェルを発見!

「どうして、こんな所に……?」

 と、声をかけて、ウニャン! と、怒ったような鳴声。

「え? あれ?」

 何か、自分の記憶にひっかかるものを感じて、アンジェリークが首を傾げると、今度は、フーッ! と、威嚇の声。

「え? え〜と……あっ!」

 やっと、気付いたようです。

 ちょっと前に、自分がゼフェルに宣言した事を。

「…………お風呂……入る、の?」

 冷や汗。

 ゼフェルがただの猫ではないと分かった今、ゼフェルと一緒にお風呂に入るという事は……。

 =同年代の男の子とお風呂に入ること。

 それは、マズイのでは?

 と、思って、躊躇していると。

 ガブリ。

「………………イタイ……かも……」

 下を見下ろせば、ふくらはぎに噛みつくゼフェル&見上げる恨みがましさを宿した赤い瞳。

 果して、アンジェリークに拒否権があろうはずがない。

 自分の言葉の責任を取るハメになった。

「…………じゃじゃあ……えっと、バスタオル、巻いててもいい、よ、ね?」

 アンジェリークの言葉に、猫ゼフェル、瞳を細めてヒゲをピンと立ててみた。ついでに、喉なぞ鳴らしている。

「……………………あううっ……」

 アンジェリーク、ドアを開けた脱衣所に、意気揚揚と入っていくゼフェルを見て、半べそをかかずにはいられなかった。

 

 

   




<言い訳>

種馬ご登場です。でも、多分、今回限り(笑)。

彼が使い物にならなくなったら、やっぱり、宇宙中のお嬢ちゃん方は

お嘆きになるのでしょうか?(笑)

多分、傷は浅かろうと思うので、ご安心下さい(爆)。

書き手、ヨッキュウフマンにより、次回こそは、がんばって

13禁っぽくいたします。・・・ええ、多分(^^;)。