猫少年Z

(題名・・・かなり、まんまです...スンマセン^^;)


《 序章 》

 空には重々しい鉛色の雲が空間を閉鎖するように空に立ち込め、空気は湿気をたっぷりと含んで身体に纏わりつくようだった。

 そんな、薄暗く、重苦しいある日の事、アンジェリークは不思議な猫に出会った。

 ルビー色の瞳、しなやかな体は銀色の短毛で覆われている。

 見つめあった瞬間にでも、アンジェリークはその猫の、神秘的なルビーレッドの瞳に捕らわれていたのかもしれない。

 ぽつりぽつりと滴り始めた雨に、後ろ髪をひかれながらも足早に家路につくアンジェリークを瞳で追いかける猫もまた、アンジェリークに惹かれていたのだろう。





「おかえりなさい、パパ……って、え?」

 外は、どしゃぶりになった雨。

 母親お手製のシチューが良い匂いを漂わせ始めた頃、父親は帰ってきた。

 父親自身も、随分と濡れていたが、その胸に抱きかかえた物体は、まるで水に浸されたモップのようで……。

 アンジェリークは、目を見開いて、立ちすくんでしまった。

「ああ、この猫ですか?」

 考古学者をしている父親がにっこり笑って、雨に濡れた猫をそっと玄関に降ろすと、猫はくるりと振り向いた。

 ルビー色の瞳が、蛍光灯の光できらきらと、綺麗に輝いた。

「びしょ濡れになって玄関先に座り込んでいましてね、あんまり可愛そうで、連れてきちゃったんですよ」

 ―――自分に、ついてきたんだ!

 そう直感したアンジェリークは、猫を見て、にっこりと笑った。

「いらっしゃい」

 猫は、アンジェリークを見上げてそっぽを向くと、まるで照れ隠しのように、前足で顔を洗った。





 猫は、首輪をしていた。

 いや、それは首輪と言うよりも、まるでネックレスのようだった。

 銀色の太めのチェーンと、ワンポイントのプレート。そこに刻み込まれた文字は……。

「z……“zephel”? ゼフェル?」

 アンジェリークが読み上げると、猫は、彼女をじっと見上げた後、なぉ〜んと、少し掠れた声を出した。

「そっか、ゼフェルっていうんだね、あなた」

 アンジェリークが頭を撫ぜようとすると、身を引いて、ソファーの上でくつろぐ父親の膝の上に飛び乗った。

「飼い猫、なのかしら?」

 むくれるアンジェリークの、その様子を見て笑いながら母親が小首を傾げ、父親は猫の背を撫ぜながらにっこり笑った。

「猫は家に付くと言いますから、明日になればちゃんと自分の家に帰るんじゃないでしょうかねぇ?」

 父親の言葉に、一抹の寂しさを感じながら、アンジェリークは呟いた。

「そっか……猫ちゃんも、自分のおうちの方がいいよね……」

 けれど、翌日になっても猫はアンジェリークの家から離れようとせず……迷い猫としてその猫の広告を街中に張ってみたり、警察に届けもしたが、一向に飼い主らしき人は現れず………。

 ―――結局、その猫は、アンジェリークの家族の一員となったのである。


☆  ☆  ☆


 そして、これは、その猫が初めてアンジェリークの家にやってきた夜の事……。

 相変わらず、うるさいくらいに雨が激しく降っていた。

 こんな日は、星は勿論、月の輝きさえ、地上には降りてこない。

 ドライヤーですっかり乾かされた猫――ゼフェルは、ミルクとシチューを振舞われ、さまざまな議論の末(ほとんど、母親とアンジェリークの猫争奪合戦だった)、結局アンジェリークの部屋の片隅に、寝床を提供された。

 元々小物入れに使っていた籐籠にクッションを置いた寝床に、猫は意外なほどあっさりと納まって、アンジェリークがベッドにもぐり込む頃には、寝息をたてていた。

 雨の音さえ子守唄にして、アンジェリークの意識は夢の淵をふらふらと漂っていた。

 目を覚ましたわけではない。

 レム睡眠の、もう少し浅い眠り。意識が微妙に現と繋がった状態、といえばいいだろうか。

 もしかすると、ただ夢を、見ていただけかもしれない。

 けれど、それは、あまりに心惹かれる夢だった……。

 誰かが、アンジェリークを覗き込んでいた。

 それに気づいて、うっすらとまぶたを開けて、見た「誰か」は……。

 誰かは、分からない……というより、見知らぬ人だった。

 年頃はアンジェリークとそう変わらないくらいの……少年。

 きつい印象を与える、整った面立ち。そして……暗がりにあっても、闇に溶け込もうとしない、印象的なルビーレッドの瞳と、浮かび上がる銀色の髪。

 どこかで、会ったことがあるかもしれない……。

 起きているか寝ているか分からない意識で、そう思う。

 ああ……そうか………猫ちゃんに、似ているんだ……。

 ゆるゆるとした意識が、そう認識して、アンジェリークの唇はわずかに微笑みに崩れた。

 つられるように、少年の唇もわずかにほころんで……ゆっくりとした動作で、少年は、アンジェリークの唇に、それを、押し当てた。

 暖かくて、優しい感触。

 見ず知らずに人にキスされている……そう思いはしたけれど、別段、嫌な気分にならなかった。

 幸福に細められた少年の瞳が、とてもキレイだったから……自分まで、幸せな気持ちになった。

 そっと、優しく髪の毛が撫ぜられて、掠れた声が、静かにアンジェリークの耳を打った。

「アンジェリーク……」

 その声を聞くと、なんだか妙に心地よくなって、アンジェリークの意識は、再びどこか深いところへと沈んで行った。

 その夜の出来事は、結局夢か現か分からずに、甘い後味の記憶となって、アンジェリークの心の片隅に残っていた。








<言い訳>

はぁあい♪ やっと、念願のお話UPぅ♪

ちょっとお下劣・ギャグ風味にしたいなぁ、とか思っているんですが、

今回はまだ、綺麗(?)に決めてみましたぁ♪

それにしても・・・コメディって、エロ書くよりも難しいかも(^^;)。

このお話は、13禁〜〜。

多分、ここに来ていただいているのは、13歳以上のお嬢ちゃん方(笑)だと

思うんで、あえて13禁ですぅ。

これから、お約束なHぃシーンをね、ばしばしと入れて行けたらなぁ、とも、思ってます。

うふふふ・・・・・・・かなり、気に入っているセッティングなんで、しばらく続けたいなぁ。

(しかも、実はこれは「表Ver」で、そのうち「裏Ver」を書くかも、

な予定があったりします(^^;)。でも、裏は、とむねこの裏創作の通例どおりの代物な予定かも・・・・・・)