永遠の少年(暗)・おまけ
「ねぇ、あなたたち。盛り上がっている所悪いけど……」 聞き覚えのある声に、気まずい口調が混じって、オレの肩をたたいた。 ふたりの世界に浸っていたオレたちは、渋々顔を上げて……。 「……!?」 とんでもないもんを目撃したりした。 それは……校舎の窓からこっちを見る、鈴なりの女子高生たち! 「女子高の前で、それはマズイんじゃありません? 好奇心旺盛なお年頃の女の子達の巣窟ですよの。みんな、生ラブシーンに喜んでますわ。困った事……てゆーか、アンジェリーク、あなた、校則違反。異性との交際は、認めていませんよ、この学校は、一応」 コホン、と咳き込むのは、ロザリア……かつて、聖地で女王補佐官をしていた女。 「いやぁん。だって、そんなの旧態依然だわ! 私達の頃にだって、あってないようなものだったじゃないの!」 「でも、あなたは、一応、現役スモルニィの生徒。そして、わたくしは教師。黙って見過ごすわけには参りませんわね」 「ええ〜!? ちょ、ちょっと待って、ロザリア!?」 「先生とお呼びなさい!」 「だっ、だって、だって!!」 まだ、何が起こっているかよく分からず、周囲半径10メートルに集まった女子高生だかりを呆然と見まわすオレを尻目に、アンジェリークとロザリアは会話を進めていった。 「ですので……停学二週間!」 ロザリアの言葉に、アンジェリークは目を丸くする、が……。 すぐ耳元で、ひそひそ声。 「ゼフェル様と、積もる話もあるでしょう。停学と言っても、大丈夫、わたくしが上手くやっておきますわ。これでも、まだ、元女王補佐官の権限は残っていますのよ?」 なんとも、粋なはからいだ。しかも。 「そしてね、現女王様のおはからいで、ゼフェル様の退役守護聖としての権利もアンジェの元女王としての権利もまだ生きてますわ」 職権濫用に他ならない事を言って、にっこり笑いかける。 「あなたたちがこの地で暮らせるように、わたくし達、お節介ですが色々用意しましたの。後は、ランディ様にお任せします」 ひそひそ話から顔を上げると、例のリムジンからランディが手を振っていた。 「さぁ、お行きなさい」 オレとアンジェリークの背を押して、ロザリアは大きく笑い、周囲の女子高生達にも聞こえるように言った。 「校則では、保護者の許可を得た婚約者との交際は認められいます。身内のいないアンジェリークの後見は、わたくしが任されておりますわ。ですから……停学が解けたらわたくしに挨拶しにいらっしゃい。それから、彼を認めて差し上げてもよろしいですわよ」 くすっ、ちょっと意地の悪い笑いをする。確信犯だ。 女子高生の間から、その言葉によって、ざわめきの波が広がった。 恐らく、停学が解けた後、アンジェリークの婚約は、学校中に広がる噂になっているに違いない。 「いいのか?」 こいつが、新たな高校生生活を楽しみたいのだとしたら、そんな噂邪魔なだけだろうが……。 「え? どうして? だって、私達、これから一緒に暮らすのに」 「は?」 「いいでしょう? 長い間、お互い寂しかったのに……短い人生よ、ずっと一緒にいたいもの」 オレが、その言葉を拒否できるはずがない。 ただ、小さく笑うだけだ。 足元によってきた猫を抱き上げ、オレ達はランディが扉を開けて待っている車に乗り込んだ。 「やっと、ロザリアから言われていた用事を果す事ができた」 その言葉に、オレは顔をしかめる。 こいつも、とんだ確信犯になったもんだ。 おれがアンジェリークにかかわる事を絶対に見過ごせないのを読んで、わざわざカマをかけに来たわけだ。 更に、付け加えて耳元で囁く古い友人の声に、オレは、顔をしかめた。 「仕方ないから、俺が予約してあったレストラン、おまえに譲るよ、ゼフェル。楽しんで来い」 こいつ、あの当時マジで、アンジェリークに惚れてたから……何か嫌がらせにも聞こえるんだよな……。 「……それと、ホテルの予約もできてるよ」 くすっと笑って付け加えて、オレが怒り出す前に、車のドアを閉めた。 あいつ、もしかして、マジでアンジェリークを連れ込もうとしてたんじゃねぇだろうな!? 車のガラスの向こうに見えるランディの笑顔は、あまりに複雑なもので……その胸の内の真意はいまいち判然としなかったが……。 見送りの為に側に寄ってきたロザリアに向ける笑顔……それで、分かった。 「ねぇ、私の記憶が戻る前、ロザリア先生、婚約したの……相手は誰だか分かる?」 「……」 答えは、聞くまでもなかった。 「……まぁ、見事なかかぁ天下になるだろうな……」 ぼそり、と、呟くと、アンジェリークはくすっと笑った。 「あら、それって、理想じゃない?」 おいおい……でも、まぁ……それも、悪かないな。 こいつの尻の下なら、それなりに楽しいかも……しんない。 ……てゆーか、自分で考えた言葉に、別の事を想像(妄想)して、にやけるオレに、アンジェリークは思いきりむくれた顔をしてみせた。 「なんか、イヤラシイ事考えてる?」 「……」 スルドイ。 返答につまったオレの頬をつねりながら、アンジェリークは笑った。 「まぁ、いいわ。とりあえず……キス、してくれたら許してあげる」 おっけー。妄想まっしぐら。 オレは、にぃっと笑って、強くアンジェリークを抱き寄せ、シートに押し倒した! 「え? え? ちょ、ちょっと、だって、運転手さんが!?」 「大丈夫、壁で区切られてるから、ちょっとやそっとの声は聞こえねぇ」 「だって、だって!? 猫が、チビがいるし!」 「大丈夫、こいつは一回寝はじめたら、他の事なんざお構いナシだ」 「ええっ!? だって、だって、その……あのね……!」 「おめーのせいで、長い間とんでもねぇ禁欲生活強いられて、欲求不満だったんだ! これくらい、させろ」 「あううっ……そんな事言うなんて、ズル〜イ!! せめて……せめて、ホテルまで我慢して〜!!!」 アンジェリークの叫びが、オレに通じたがどうか……それは秘密だ(笑)。 ともかく、オレの旅は終わった。 永遠にも続く旅は終わり、これから……限られた時を、何より愛しい少女と共に、生きていくだろう。 それは、今まで無駄に生きてきた長い時とは比べ物になんねぇくらいの短い時。 けれど、それこそが、オレの、オレ達の永遠に続く、至上の幸福の時となるのだ……。
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<言い訳>
ここまでおつきあいありがとうございました(^^)。
この後、このふたりはらぶらぶはっぴーな生活を送る事でしょう。
ちなみに、ロザリアとランディの予定年齢は20代半ばくらいです。
ロザリアはアンジェがいなくなってからも、しばらくの間、
新女王と新補佐官の教育係みたいな感じで聖地に残っていました。
で、このふたりは、ほとんど同時期に聖地を離れ、こっちで再会して付き合い出したようです。
うん、完全に、ランディ尻の下(爆)。
なんだか、練りが弱くて、やっぱり完全に納得できないお話になっちゃいましたが、
これが能力の限界(T_T)。
でも、性懲りもなく、他のお話も色々、がんばらせていただきますぅ。
とりあえず・・・・・・このお話、はっぴーに終わって、ほっと一息。
次は・・・・・・さて、他のものを頑張らせていただきます(^^;)。