新婚生活 in 油屋
〜序章



 十歳の時の神隠しから8年が過ぎ……"約束"は、実現した。

 しかも、最上の形で。

 不思議の町から、約束通りに千尋に会いに来たハクが……千尋を攫ったのだ。

 きっと、それは、永遠の神隠し。

 二度と、元いた世界には戻れないだろう。

 けれど、千尋は、後悔なんてしない。だって、千尋は自分の帰る場所を新しく見付けたから。ハクという青年の傍に……。

 ――そして……"千尋"という名前を忘れる事無く、千尋は不思議の町の住人に、なった。


 8年。きっと、十代の少女にはとんでもなく長い時間。

 けれど、不思議の町は、ほとんど何も変わってはいなかった。

 あっちとこっちでは、時間の流れ自体が違うらしい。

 ハクが8年分成長しているのは、人間の世界にいる千尋にあわせた姿を取っている為なのだろう。(何しろ、元が年齢があってないような"神様"なのだから)

 とにもかくにも、千尋は、不思議の町の住人として、皆に歓迎され……一部の者達の激しい顰蹙を買いながらも(<ハクが)、ハクと結ばれた。

(そりゃもう、血で血を洗うような熾烈な葛藤があったらしいが……そこらヘンについては、ご想像にお任せしたい)
 

 ちなみに、不思議の町にて、ふたりがどういった生活を送っているのかといえば……共稼ぎ、である(笑)。

 ハクは、湯婆婆の片腕、油屋の専務として(坊はまだまだ修行中!)、千尋は下働きとして(まずは下積みから!)。

 つまり、夫婦(そぉ、夫婦、メオト、である!)揃って湯婆婆にこき使われているわけだ。

 ちなみに、新婚新居は……油屋の、一室にあったりした。


 勿論、そんな環境で、ふたりが真の蜜月(ハニームーン♪)を過ごせるわけがなく……さてさて、どんな日々を過ごしているのやら……。



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