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春の訪れ で……エリカちゃんをトイレの前まで引っ張ってきて。 「エリカちゃぁん!」 泣きついた。 だって、だってさ、黙っていてくれるものだと思ってたのに……なんで、暴露しようとするかなぁ……。 「ムカついたんやもん。あんたたちさ、目で語り合っとるし……。ほーんと、ふたりの世界、やんな?」 ぷっとふくれるエリカちゃん。 や……その……そんなところまで、見てるんだね、ちゃんと……。 「つか、ホントに、どこまで進んどるん? キスくらいは、したやろ?」 うっ……した、というか、してる、けど……。 あっ、あのね……そーいう事は、私達のプライバシーに関わるから……って、前も同じような事言った気が……。 「つまらんなぁ……。まぁ……うちをフッたからには、幸せになってもらわなそれはそれでムカつくけど」 にっと笑う笑顔に、私も苦笑い。 けど、けど……エリカちゃん、そのにっと笑った顔のまま、とんでもない事言い出してくれちゃって……。 「あんたの従姉の真奈美さん? よぉ喋る人やね。あんたらの事喋ったら、面白ぅなりそうやなぁ」 ……え? 「やっぱり、姉弟でつきおぅとるんって、マズイよなぁ?」 ……はい? エリカ、ちゃん? 「で、頼みがあるんやけど」 …………。 わっ、私、もしかして、脅迫されてる!? エリカちゃんの笑顔が、やっぱり、悪魔に見えるぅ……。 「たっ、頼み、って……?」 何を要求されるのが、怯えながら問い掛けると、エリカちゃんの答えは……。 「2,3日、かくまってくれへん!?」 ……は? 「ちょっと、色々マズイ事になってしもたもんで……3日……ううん、2日くらいでええねん。頼むわ」 かくまうって……。 私に向けて、手を合わせるエリカちゃんは、唖然とする私にまくし立てるように言葉を続ける。 「あんたらに迷惑かけるつもりないから、ただ、寝るトコだけ提供してくれたら後は適当になんとかするし。資金はそれなりにあるんやけど、子供だけで泊まらせてくれるホテルなんてないから、困っとるんや。あと、あんたと尽がうちの事なんて、知らぬ存ぜぬで口つぐんでくれさえすれば、うちは助かるんや! なぁ、頼むわ」 ええと……。 なんか……。 理由、聞いちゃ、ダメ……? 「りっ、理由は……まぁ、その……そのうち話す、けど……」 エリカちゃんの額に脂汗が……。 一体、何からかくまうっていうの!? 「姫条くんにも……」 「言わんといて!」 必死の形相で私にしがみついてくる。 一体、何なの!? このエリカちゃんを、それくらい必死に逃げさせるものって!? 聞きたかったけど……なんか、あんまり必死な様子がかわいそうに思えて……つい……。 「うん、分かった。それじゃあ、2,3日ここにいていいよ。うちも丁度両親いないから、部屋、開いてるし」 請合っちゃった……んだけどさ。 「どういう事?」 低い声がして振り向いたら、変な表情をした尽がいた。 「俺ひとりに真奈美さんの相手おしつけて、二人揃ってやけに帰り遅いから、見に来てみれば、何の相談? エリカがここにいる、ってどういう事?」 眉がひくひく震えてる。無理に笑みの形を作っているのが見え見えの口元も、ふるふる震える。 あ……怒ってる? 尽、怒ってる、かも……。 ああぁぁ……だって、だってぇ……。 尽の顔中の筋肉、引き攣ってる。 怒ってるのを、かなり無理矢理笑顔にしてるんだわっ! 「あっ、あのね! エリカちゃん困ってるから、ここに泊めてあげようかと思って……」 びくびくしながらも私が言うと、尽は、一瞬、ほんの一瞬、引き攣った表情を明らかに怒りと呆れのソレへと戻した。すぐにまた、引き攣った笑顔を作ったけれど……ううっ、滅茶苦茶怒ってるかも……。 ……私ね、真奈美ちゃんやエリカちゃんの来訪ですっかり忘れてた事があった。 ホント、素で忘れてたの。 だから、それが、尽を怒らせている原因だって事、しばらく気付かなかった。 にっ、鈍いのは、すっかり自覚して……マス……。 「ホワイトデーの約束……」 って、尽がボソリとつぶやいて初めて。 「あっ!?」 って、気付いて、同時に顔を赤くした。 ホワイトデーの今晩、私と尽は……。 でも、エリカちゃんがいたら、さすがにその約束は果たせない、よね? あううっ……ごっ、ごめんねぇ、尽。私、本当に忘れてたんだってばぁ! また、お預けかよ!? って、尽が目で語ってる。 ああぁぁ……もぉ、ごめんってばぁ! 私の申し訳なさで一杯の顔から視線をそらせた尽は、不自然極まりないにっこり笑顔で、今度はエリカちゃんを見やった。 「エリカ、おまえまた身内に迷惑かける気か? 勝手に出てきたんだとしたら、どれだけ心配してるか!」 怒ってるよぅ。 ごめんねぇ、エリカちゃん……多分、尽のこのお怒りは、エリカちゃんに対するだけのものじゃないから……耐えてっ! つか、女性に対して……特に、自分を慕ってくる女の子に対して、無条件に優しいはずの尽のその態度はひどく珍しく……ううん、珍しいっていうか、ほとんど天変地異の前触れのごとくで。 ……あぁ、どれだけ尽があの約束を楽しみにしてたかが分かってしまって……怖いってばっ! ふたりの約束が御破算になりそうな事態に、怒り心頭なのがありありで……。 「大概にしとけ、な? ワガママでそんな行動とってるくらいなら、帰れ」 にっこり笑顔の下は、もぉ、完璧、マグマのごとく怒ってる。活動休止の火山状態カモ!? で、でもさ、その言葉は、ちょっと、ヒドクない? なんか、図星突かれたらしいエリカちゃんは……押し黙ってふくれて……。 「尽のばかぁっ!!」 叫んで尽を睨みつけてから、居間へと帰っていった。 あぁ……エリカちゃんも、大変! ね、ねぇ、尽! あんまりだよ、あんな子供にっ! それに、エリカちゃん、あんたにお礼言いたくて来てくれたんだよ!? なのに、あんなに突き放して……。 「この家に泊まりたいってのは、あいつの我がままなんだろ、どうせ?」 や、まぁ……多分、そうだろうけど……。 「なんか、気に食わない事があって、出てきたんだろよ、また。大人びた事言ってるけど、ガキはガキ」 ……って、あんたも、そのエリカちゃんと4歳しか違わないんじゃ……。 って、言ってから後悔した私の突っ込みに、尽はにんまり笑った。 「分かってるじゃん、ねえちゃん」 で、なっ、なんで、じわじわ私に近づいてくるのぉ!? ひゃぅ!? ちょっと、壁に縫いとめないでぇ! ヤダ! そんな事されたら、身動き取れないっ! 私の頭の両脇の壁に手をついた尽……って、私、尽と壁に囲まれて身動き取れなくなって……嫌でも、尽の存在を身近に感じちゃう。 ちょっとぉ! 「そう、俺、ガキだからさ。約束、二度もお流れになっても、平気でいられるわけないよ……」 至近距離から、じっと私を見詰めてきて……。 「ねえちゃん……」 そっ、そんな風に、艶っぽい声出さないで。ていうか、その伏目がちに見詰めてくる眼差しは……強烈すぎだってば。 声と眼差しだけで、私、どきどきが止まらない。 ううっ、けど、そんなに色っぽく迫られても……だって、だってさ、真奈美ちゃんもエリカちゃんもまだいるのよぉ!? って、だから……! 「……っ!!」 キスしてくるし……。 でも、私、抵抗しきれない……。 「やっ、ばか……」 軽く重ねられた唇はすぐに離れ、私は、溜息とともにそんな言葉を洩らしてしてしまったけれど、尽のその直後の行動に、今度は。 「ばかっ!!」 怒鳴っちゃった。 だって、尽ってば、キスを止めた唇をそのままずらせて、私の首筋に押し当てたのっ。 ちゅぅ、って強く吸い付いてくる尽の唇の熱い感触に、ぞくっとしちゃう。 真奈美ちゃんとエリカちゃんがいるの、頭では分かってるのに……でも、体は、尽のそれに反応しちゃう。 数度、唇の角度を変えて、微妙に位置を変えて、尽の唇は私の首筋を這いまわり、私の体に熱を注ぎ込む。 「やっ……ダメ……」 微かに抵抗する声を出すだけで、精一杯。 だって、どんどん……オカシクなってくる。 はあっ、って、熱い吐息が漏れちゃう。 ちゅ、と音を立てて離された尽の唇から吐き出された熱くて湿った息が肌を焼いて、そこから溶けちゃいそうになる。 ぬらっとした舌の感触が首筋をつっとなぞって、体の芯が、ぞくっと震えて、思わず背筋をのけぞらせた。 「……っ! あぁ……」 だめなのに……ふたりが、いるのに……こんなの、見られちゃいけないのに……。 理性の歯止めが私の腕を動かして、尽の胸を押しやる動きをする。でも、そこに力はなくて、尽はそれにびくともしない。 そのうち、理性が希薄になっていて、体が言う事をきかなくなっていって……スカートをたくし上げながら素足に触れてくる尽の手を、熱く、感じた。 体の熱が上がって、頬か上気して、熱い吐息が止め処なく溢れて……。 真奈美ちゃんもエリカちゃんもいるのに、そこは私と尽のふたりだけの空間になってた。 そのまま、ふたり、この空間の中で、どうなってもいいと思うくらい……。 ……って、浸っていたら……。 「尽ぃぃーーーーっ!!!」 って、聞きなれた怒鳴り声が聞こえて、私も尽もビクンとしちゃった。 あぁ、あれは、真奈美ちゃんのお怒りの声……。 なっ、何かな!? 尽は慌てて私から体を離して、私も急に現実に引き戻されて、顔を見合わせた後、かなり恐る恐る怒声の源へと向かった。 尽が、居間のドアをそっと開けた……途端に。 「あんた、何、女の子泣かせてんのよ!!」 もしも、言葉と声が三次元に形を持てば、尽はその言葉に張り倒されていたかもしれないくらいの、真奈美ちゃんの声。 居間で何が起こっているかといえば……俯いたエリカちゃんが手で顔を覆っている傍ら、真奈美ちゃんがそんなエリカちゃんの体を抱きしめてた。 あ、なんとなく、状況が分かっちゃう……。 「尽、あんた、女の子に優しい事だけが取り得じゃなかったの!? こんな可愛い女の子泣かせて、男失格だねっ!」 本気で怒ってるよぉ。 あ、あのね、真奈美ちゃん……。 「あんたは黙って。こんな情けない男、かばう必要ないっ!」 ぴしゃり、と、言い切られた。 ひゃぁ……も、こんなに怒った真奈美ちゃん見るの、久しぶりかも……。 「聞けば、エリカ、今晩泊まるところに難儀してるって話じゃない? こんなか弱い女の子、あんた、寒空に放り出す気だったワケ!?」 ぎりっと尽を睨み上げ……尽、もう、たじたじ。 言い訳する余地もなし。 ただ、唖然として真奈美ちゃんのお怒りを被ってる。 「だいたいね、わざわざ遠方から、あんたにお礼を言いに来てくれたんでしょ、エリカは!? そんな献身的にあんたを慕ってきた女の子に、なんで、そんな冷たい態度取れるかな!? 私、あんたをそんな風に育てた覚えないけどなっ!」 いや……そりゃ、まぁ、確かに、真奈美ちゃんにも育てられているけれどさ……。 尽、いつものように反論できてない。 といういか、ここで反論すると、真奈美ちゃんのペースに飲まれて、巻き込まれて、またとんでもない事態に傾いていく事を過去の経験から学習してるみたい。 そんな調子で、真奈美ちゃんはしばらく尽を罵倒しつづけ……尽は、時々溜息つきながらも真奈美ちゃんの言葉を聞き流し……。 私は……仕方ないから、お茶を入れなおすことにした。 ちなみに、キッチンからちらっとその様子を伺ったら……エリカちゃん、真奈美ちゃんに肩を抱かれたまま、俯いて顔を手で覆いながらも、指の隙間から私のほうに視線を向けてきて……にっこり、笑った。 ………確信犯、なのね、エリカちゃん……。 尽、ちょっとかわいそう……。 に、しても、エリカちゃん、よくあれだけ短時間の間で、尽が真奈美ちゃんに弱い、って事、把握したわね。でもって、真奈美ちゃんが、徹底的な姉御肌だって事も計算してたのね……。もしかして、あの、大人しくしてる間に、人間関係観察して、この計略練ってたのかしら……? だとしたら……将来、相当怖いカモ……。 あと数年後に恋敵になってたら……私、絶対、確実に、負けてたわ……。 それにしても……今日、尽ってば、女性陣に散々な目に合ってるわね……後で……ちょっと、優しくしてあげよ。私までいぢめるのはあんまりだもの、ね? 「真奈美さん、もうええから……」 私が、お茶を居間に運んできたタイミングを見計らったように、エリカちゃんが、顔を上げ、うんざり顔の尽に説教しまくる真奈美ちゃんの服の裾を引っ張った。 整った顔立ちの中、印象的な大きな瞳は涙で潤んでいて、頬は赤くなってて……普通の感覚を持つ人間なら、無条件にエリカちゃんの味方をしたくなっちゃうと思うの。 「うちも、確かに突然やったから……尽、驚いても仕方ないし……ごめんな」 「エリカ。あんたが謝る事じゃないでしょう? このヒトデナシが悪いんだから!」 ああ……終に、尽はヒトデナシにまで降格しちゃったのね。 「ううん。ええの。うち、なんとかするわ……。従兄のにぃちゃんもこっちにおるんやけど……うちの事、好いてないみたいやけど……なんとか、頼んで泊めてもらうから……」 はい? 姫条くんがエリカちゃんの事、好きじゃない? この間の心配した様子からして、そんな事、なさそうだけど……。 「台所の片隅でも、玄関でも、屋根があって雨風しのげるだけマシやし……」 えーと……なんか、エリカちゃん……それって……。 エリカちゃんの言葉に、真奈美ちゃんの目がうるうるってなった。 ああぁぁ……エリカちゃん、演技派! ……真奈美ちゃん、エリカちゃんに騙されてるよぉ……。 「尽! あんた、こんないじらしい子、放り出したら、鬼よ、畜生よ! 鬼畜だわっ」 あ、ついに、最低ランクの鬼畜まで来ましたか……? 真奈美ちゃんは、エリカちゃんに簡単に手玉に取られて……尽をなじりまくって……尽は、エリカちゃんの計略通りになってしまった。 真奈美ちゃんはこの場で最強だからねぇ……その最強の人物を味方につけた者勝ち、なのね。 まぁ、私は、別にエリカちゃんの計略に乗せられても構わないし、その言葉に最初に頷いたのは私だけれど……。 悪者になっちゃった尽が、やっぱり、ちょっと可愛そう……。 「……と、いうわけで、今晩よろしゅぅおねがいします」 で……。 エリカちゃんの宿泊は決定した。 尽は……かなりショックを受けたらしく、自分の部屋に引き篭もっちゃった。 ホント、尽の打ちひしがれようは、哀れだったと思うけど……エリカちゃんの方が尽より上手だったのねぇ……。 両親のいない間、その代わりに、エリカちゃんが滞在する事になったわけね。 私は、エリカちゃんの事好きだから、それ自体は構わない……というか、数日間の妹ができたみたいで嬉しいんだけど……。 実は、その……私も、ちょっとだけ………残念に思ったりしたの……って、あの、別に、そーいう事を、期待していたわけでもないのよ!? ただ、尽とふたりきりでいられるのなんて、滅多にないから……たまには、もっと、姉弟じゃなくて恋人らしく過ごしたいな、って、思ったから……。 無意識に首筋に手が伸びて、さっき、尽の唇が触れていた熱い感触の名残を、指先で探しちゃう。 「ね、それ……」 そしたら、目端の利く真奈美ちゃん、目を真ん丸くして私の首筋を覗き込んできた。 え? なに?? 「あんた、そんなトコに痣なんてなかったよね……? もしかして…………アレ?」 はい? アレ、って? にやっ、と、真奈美ちゃんが笑った。 「や、そうか。そんなトコまで進行してたんだ、あんたと、噂の彼氏」 え? どういう意味……?? 首筋が、なに? 自分で、自分の首筋なんて見えないってば。 きょとんとする私の耳元に真奈美ちゃんがつつつと近づいてきて、エリカちゃんには聞こえないように囁いた。 「だって、ソレ、キスマークでしょう?」 えっ!? キッ、キス……キスマーク、って、えぇぇっ!? 思わず、じたばたしちゃったけど、自分では見えないってばっ! あ、ああっ! もしかして、さっき廊下で尽にされたキスの痕が………。 そう思って、その時の事を思い出したら、顔が自分でもはっきりわかるくらいに真っ赤になっていって……真奈美ちゃんは、我が意を得たり、とばかりにニヤニヤ笑った。 「あんたも、大人になったんだねぇ……そっかそっか。赤飯、炊いちゃう?」 ………っ!! 「まっ、まだ、そういう事してないもんっ!!」 思わず言っちゃってから、慌てて口元を抑えた。 そんなの、公言しちゃうの、恥かしいってばっ! 例えしてても、してなくても……。 「え? まだ? そっか、途上、なのか……。でも、そこまでするって事は、既に間近、だよね?」 ううっ。 だっ、だから、ホントなら今日…………なんて、言えるわけもなしっ!! で、私、顔を真っ赤にしたまま、絶対それ以上喋りません、と、顔に書いて思い切り口をつぐみ、真奈美ちゃんに目でその意思を伝えていると……真奈美ちゃん、急に話題を転換した……あれ? 「今日ホワイトデーじゃない? その彼氏にも当然チョコあげてるでしょう? で、お返しは?」 あ、うん……そういや、お返し、まだ、かな? でも、別にお返しなんて……。 「つか、今日、会わないの?」 え? えーと……その……。 ……既に、会い続けてる、なんて、言えないよぅ。 私が困惑してると、真奈美ちゃんは勝手に事を解釈してしまったらしい。 「もしかして、これから出かける予定だった、とか!? 私達の来訪で邪魔してる、とか!?」 や、その……そりゃ、当たらずとも遠からずで……。 「ごめーん。私はさ、もうすぐ帰るわ。ダーリンの仕事も終わる頃だろうし。で、家のことはさ、尽がいるから大丈夫でしょ? エリカだっているし、ね?」 「やね。うちもおるし……な?」 エリカちゃん……なんか、笑いが意地悪……。 「さあ、さ。身支度整えて、お出かけしまショ! ホワイトデーだし、きっと、いいものくれるから……うふふふふふ……」 って、真奈美ちゃん、笑い方、ヤラシクない……? いっ、いいものって……。 聞くのも怖いけど、私が戸惑っていると、真奈美ちゃん、また私の耳元で囁く。 「一晩の、思い出……うふっ」 ……っ! もっ、もしかして、そういう事を考えながら話題逸らしたワケ? まったく……何考えてるのかなぁ!! 「と、いうわけで、私、帰るねっ!」 あ、本当に、もう帰っちゃうの……? 「うん。けど、また遊びに来るから。あんたも、遊びにおいでよ? できれば、今度は、彼氏連れて」 えーと……はははは………。 「次に会った時、あんたは大人になっちゃってるのねぇ……おねえさんは、ちょっと悲しい……けど、嬉しいっ!」 きゅぅって私を抱きしめてくる真奈美ちゃん。 そんな風に、抱きしめられるのは……ふふ……ちょっと、嬉しい。 言葉の内容は、とんでもないけど、ね……。 「じゃ、エリカも、またいつか会える機会があれば、ね!」 エリカちゃんは、真奈美ちゃんににこにこと手を振った。 まるで台風のような真奈美ちゃんは、主に尽にだけ甚大な被害を残して、去っていった。 「あ、尽に、もっとイイ男になんなさい、って伝えといて。うちのダーリンくらいのイイ男になるには、あと20年は必要かもしんないけど!」 最後に尽への伝言というか、結局ノロケを残して。 はぁーーー……なんか、身体の力がどっと抜けちゃった。 静かにはなったけれど………まだエリカちゃんがいるわけだから、尽との約束は果たされそうもないけれど。 つづく |
<言い訳とか>
今回も、お邪魔虫。
それでも、一応、隙を見てラブラブしてみたり。
次回は……一応、ラブラブ導入部…多分。
次回更新も間が開いちゃうかも(^^;)。