冬物語〜クリスマス・キャロルが響いて
<3>


 
「夜なのに、結構人いるね?」

「クリスマスだし」

 家に帰ると、また、ふたりがただの姉弟へと戻ってしまいそうだったから、森林公園へと足を踏み入れた。

 この時期だけイルミネーションで飾られた木々の間を歩いて、池のほとりを歩いて……すごく寒いけれど、なんだか、とっても、幸せ。
 繋いだ尽の手が、暖ったかくて、どきどきする。

 すごく、ヘンな気分。
 すごくすごく、不思議な気分。

 公園内のどこのベンチも、アツアツの恋人達が多くて……気後れする私に気付いたらしい尽は、くすくす笑う。

「俺達も、あんな事、する?」

 尽がくいっと顎で示した斜め後ろのベンチでは、女の子が男の子の膝の上に座って、大胆にキス、してた……。

 うっ……すごい……。
 そっ、そんなの……そんなの、できない、もん……。

 カーッと赤くなった私だけれど、次の瞬間、目の前に尽の顔があって……かすめるような口付けを受けた。

 ……つ、尽っ!?

「……うん。ねえちゃんが、あんな事できるとは思えないけどね。これくらいは、させてくれてもいいだろ?」

 ……っ!

 なんていうか、その……そりゃあ……嫌な気分じゃなくて……ちょっと……ううん、かなり嬉しい気も、する、ケド……。
 尽……あんた、まだ中学生のくせに……慣れてるね、こういう事。
 ちょっと、唇を尖らせて呟くと、尽は目を丸くした後、肩をすくめた。

「キスくらいで、そんな事言われたくないな」

 唇が、思い切り何か企んでる形に崩れてるっ!
 なっ、何かな!?

「ううん、別にぃ。ただ……もっと、先までさせてくれたら、俺の経験値がどの程度か分かるんじゃないかなぁ、とか、思ってるんだけど?」

 もっと、先?
 えーと?

「まぁ……」

 首を傾げてしまった私に、尽は深い溜息をついた。

「鈍いねえちゃん相手だから、俺も、気長に行くつもりだけどね。とりあえず、ねえちゃんに自覚できたから、安心は安心だしぃ」

 鈍いのは自覚してるけど……なんで、そういう風にバカにするかな、尽っ!

「バカにしてるわけじゃないけどさ……ねえちゃん、それじゃ、恋人達の夜に流されて、俺としてくれる?」

 …………?

 してくれる? する? なにを?

 尽、ホント、わけワカンナイ事言わないで、もっと、こう、鈍い私にわかるように、ちゃんと言ってくれなきゃ!
 ……って、私、思い切り自覚してるから……バカにされても仕方ないのかなぁ……ううっ。

 私の反応に、尽は声を上げて笑った。
 だからさ、ひとりでうけてないで、ちゃんと説明!

「説明してもいいけど……後悔しない?」

 私が後悔するような事なの……?
 それじゃあ、いい……でも、気になるけど……。

 私の態度に、やっぱり、尽はひとりで受けてる。
 ううっ……なんでかなぁ………。

 開いているベンチを見つけた私達は、そこに腰掛ける。
 少し遠くに、植物園の灯りが見えていた。イブの夜は、遅くまでしているみたい。
 空は星がキラキラ輝いていて、ホワイトクリスマスなんてありえそうもないな。

「メリークリスマス……」

 ぼそっと尽が呟く。

「冬ってさ、寒いから……暖かいものが恋しいんだな。クリスマスってその口実だよな。暖かい部屋で、暖かい相手と、暖かい時を過ごすんだ」

 握った私の手を、更にきゅっと強く握り締める。

「ねえちゃん……俺さ、今日、ねえちゃんとふたりきりになる機会があったら、ねえちゃんに告白するつもりだった。それで、ねえちゃんに本気で拒絶されたら……ねえちゃんから離れる努力してみよう、って思ってた」

 はあっ、と、大きく吐き出した息が、白い塊になってゆるゆると周囲に分散する。

「だから……これ……」

「……え?」

 目の前に差し出された、包み……私、目を丸くした。

「クリスマスプレゼント。受け取って、くれるだろ? ホントは、告る時に渡すつもりだったから、前後しちゃったけどさ……」

 小さな包み……そっと受け取って、ラッピングを解いて……綺麗な化粧ケースを開けた中から出てきたのは……。

「え? 指輪……」

「うん。これでも、かなり頑張ったんだ」

 赤い石と緑の石がついた、可愛くて綺麗な指輪。
 なんだか、結構、高そうなんですけど……こんなお金、どうしたの……!?

「バイト」

「え? だって、そんな気配なくて……」

「気付かれたら、元も子もないじゃん。それに、どんなバイトしてるの、って聞かれたらマズイし……」

 って………。

「……どんなバイト、してたの?」

 私、にっこり笑って言うと、尽は、薮蛇、墓穴、と呟いて、目を塞いで……開いて、笑った。

「まぁ、そんな話はいじゃん。それより、はめてみてよ、それ。指のサイズ、大体いいと思うんだけど」

 気になるけど……すごく気になるけど……尽は、にこにこ笑顔で、私の質問に答える意思が皆無だと伝えてくる。
 仕方ないな……でも、また後で追求するからっ!

 私、指輪を手にとって……どの指にはめるのか考えた後、とりあえず、右手の人差し指にはめてみた。
 うっ……無理。

 次に、右手薬指……ちょっと、厳しい。

 中指も……無理だよねぇ。

 左手……人差し指。あ、入った。

 左手の人差し指にはめて、それを尽に見せると……尽は、はぁ、って溜息ついて、頭を抱えちゃった。

 なんで!?

「まぁ、そこにはめてもいいんだけど……できれば、俺としては……」

 私の手を取って、指輪を外して……今度は、左手の薬指に……。

「ここに、はめてほしかったな。ほら、ぴったりじゃん」

 左手の薬指……。
 永遠の約束を交わす、指輪。

 その意味を理解して、私……顔を真っ赤にしちゃった。
 だって、なんか………。

 左手の薬指にぴったりはまって、キラキラ光る指輪を見て、真っ赤に顔を染めた私に、尽はキスをする。

「これは、まだ、手付……」

 手付……?

「そ。もっと、ちゃんとしたのは、俺が誰もが認めるイイ男になってから」

 これだけでも、十分嬉しいよ。
 でも……私、何も用意してない。
 ごめんね。

「気にしなくてもいいけど……もし、気にしてくれるなら………ねえちゃんが欲しい、な」

 え?
 私が欲しい、って?
 えーと……どうやって、あげればいいのかな?
 だって、私は私で……まさか、どっか切り取って……!? あ、いや、髪の毛くらいないなら……。

 私の返答に、またも尽、大受け。
 受けようと思って言ってるわけじゃないんだけどぉ!!なんで!?

「そんな、ねえちゃんだから、さ…………」

 目に涙までためて笑い続ける尽は、不意に私の体を引き寄せる。
 きゅっと抱き締めて……私を自分の胸の中に覆う。

 ああ、尽って……やっぱり、男の人なんだ、って、また改めて思っちゃってると……尽の顔が、降りてきた。
 間近に尽の整った顔があって、薄い唇がゆっくり動く言葉を私は全身で受け止める。


「……愛してる……」


 重なった唇。
 徐々に深く重なりながら、私の唇をなぞる尽の舌が、私の中に入っている。
 尽の熱が、私の体の奥のほうから暖める。

 すごく、すごく……心地いいの。
 だから、私も、尽の背中に腕を回して……彼に合わせるようにそっと舌を動かした。どうやったらいいかなんて、分からないんだけど……でも、すごく、気持ちイイ……。

 目を塞いじゃってるから何も見えないんだけど……でも、尽の温もりや絡まりあう暖かな舌の感触が、私を蕩かしていく。
 チョコレートみたいにとろとろに融けていって、尽の中に吸収されていくみたい。
 融けていってもいい……尽の腕の中でなら、融けちゃってもいい、って、そう思った。
 だって、例え私が跡形無く融けちゃっても、尽ならちゃんと私を私に繋ぎとめてくれるから……。そう、信じられるから。

 離れがたく離れた唇から吐き出されたふたりの吐息は、白い蒸気となって闇の中に立ち上った。

 少し遠くから、音楽が聞こえる。
 クリスマスの生演奏が、冷たい静寂の空気を震わせて、伝わってくる。
 賑やかで、暖かな音楽に……私達は微笑み合った。

「なあ、ねえちゃん……」

 甘いという表現がぴったりな尽の声音に、私の身体は痺れるように震えた。

「……夢じゃないよな?」

「ん……多分……」

 尽の身体にもたれかかりながら、うっとり呟く私の身体を尽は更に強く抱きしめた。

 なんて……幸福。
 そうか、これが、恋なんだ……。
 好きな相手の温もりを、こんなにも感じられる……幸せ、だね。

 相手が、尽だっていうのはかなり問題な気もするけど………と、ちょっぴり冷静な私もどこかに残ってて、微かな突込みをいれるけど……でも、この幸せを今更放棄できないよ。

「尽……あのね……」

「何?」

「うん……明日から、私、どんな顔してあんたと会えばいいのかな?」

 ぽつりと呟く真剣な私に……またも、尽の笑い声が響いた。
 ううっ……結局、私って、何が何でも尽に笑われちゃうのね……。

「いつも通りでいいよ、家では、ね。けど、ふたりきりの時は……覚悟、しといてよね」

 覚悟?
 なんの?

「うん。そのうち、分かるから……」

 声はなくても、その笑いが震える体から直接響いてきて……私は、頬を膨らませた。

 一体、何だっていうのぉ!?
 まぁ……いいけど……。

 でも……ホント、明日からどうしよう。
 ひとつ屋根の下、弟で……でも、恋人がいるなんて……。

 なんだか……なんだか、それって、きっと……とってもどきどきする幸せ……かも、しれないね。




 クリスマス・イブ翌日……つまり、クリスマス当日から尽は言葉どおり、それまでと何にも変わらない態度で私に接してくれた。
 ほっとしたような……ちょっと、寂しいような。

 そう、何となく寝付けないまま目覚めたクリスマスの朝……葉月くんからのメールが来た。

 エリカちゃんが、姫条くんとなっちんに迎えられて帰ってしまった事の報告、その時に、姫条くんなっちん共々、お家を片付けていったから、片付けに私が来る必要がない事。それから……以前どおりの良い友人でいよう、って……。

 ちょっと、切なかった。
 でも……葉月くんの底なしの優しさが嬉しくて、ありがたくて……私、葉月くんにとって、いい友達であり続けようと、そう思った。
 それにしても、葉月くん、私の好きなのが弟の尽だと分かっても……変に思わなかったのかな? やっぱり、度量が深いや。

 ついでに、なっちんからもメールが入っていて……

『メリクリ! 昨日の夜はどうだったのさ!?』

 って……何が?
 なっちんのメールは意味不明。
 とりあえず、返事は返しておいたけどねぇ……。

 あと……両親が出かけて、家にふたりきりになった頃、尽がやっと本性(?)を表しだした。
 リビングで朝食後のお茶を飲む私の傍につっと近寄ってきて……。

「ねえちゃん」

 って、いきなり腰にしがみついてきたのっ!
 お茶、こぼすじゃないっ!?

「親父達がいない間くらい、恋人でいさせてよ」

 にっと笑って私を見上げてくる尽に、私、顔を赤くしちゃう。

 だって……見慣れた家にいて、そこで見る見慣れた弟相手のはずなのに……その全てが違って見えて……戸惑っちゃうのよ。

 私の膝枕を嬉しそうに堪能している様子の尽を見て、私は頭の中にいくつか回っている疑問を取り出した。
 私、昨日から引っかかっている事あるんだけど、聞いても、いい?

「なに?」

 私の膝枕でくつろぐ尽を見下ろして、私、頬を膨らませながら呟いた。

「なっちんって、もしかして……知ってるの?」

「あ?」

「だって、尽の好きな人知ってるって……。相談された、って」

 私の言葉に、尽は渋い顔をした。
 あ、やっぱりそうなんだ?
 でも……なんで? なんで、なっちんに相談するの?

「……だって、あの人が、一番の手ごわいライバルになりそうな気がして、さ」

 なっちんがライバル?
 あ〜……でも、そうね、尽と似たところあるから……。

 私が呟くと、尽は露骨に嫌そうな顔をした。
 なっちんと似てるなんて……嬉しくないんだ……?
 尽はにっこり笑って、無言を通した。

 うう〜ん……まぁ、大体誰でも、自分と似た相手は苦手、だろうな……しかも、尽もなっちんも我が強いから、長い間一緒にいたら、絶対ぶつかり合っちゃいそう。

「まぁ、それはいいとして……俺達の事、今知っている人間以外には他言無用、だよな?」

「そりゃ……」

 葉月くん、なっちん……エリカちゃん。
 みんな、私達を認めてくれたみたい。
 そりゃ、色々言いたい事もあっただろうけど……私だって、冷静に考えれば、色々自分自身に突っ込みたいもの。
 けど……でも……やっぱり、尽といるのは幸せだから。

 私の膝枕をしながら、尽はうたた寝を始め……私も、その幸福な世界になんとなくうとうとしていると、テーブルの上に置かれた私の携帯から突然、けたたましい着信音がした。

 相手は、なっちん。

『やほー! で、昨日、葉月くん家に泊まらなかったって事は、尽と一緒!?』

 ……あぁ……いきなり核心っすか!?

『あんたも、終に、か。まぁ……お互い本気だってんなら、第三者が何にも言う事ないけどねぇ……修羅場だけは、カンベンね!』

 なっちん、他人事だからって、そんな……。

『他人事でもないわよぉ。だって、アタシだって巻き込まれてるわよ。尽が指輪買うための資金調達用のバイトも斡旋してあげたしぃ』

 あ、そうだ。
 その尽のバイトだけど……一体、何さ?

『あれ? 本人から聞いてない?』

 なっちんの口調が、とても面白がるものへと変わる。
 私もだけど、尽も大概なっちんに遊ばれてるんだな。
 尽が、なっちんに似てる、って言われて嫌な顔する理由はここらへんか?

『本人に聞いてみて。アタシの口からはとても……じゃ、そういう事でっ!!』

 あああっ! もぉ!いきなり携帯切っちゃうし。
 ……って、尽、あんた、なんで、逃げようとしてるの!?
 リビングのドアからそぉっと出かかっていた尽を、じとぉっと睨んで、引き止める。

「何の、アルバイトしてたの?」

 にっこり笑顔の私に、尽は息を飲んだ。
 笑顔の下では、怒ってるんだから!
 何で、そこまで内緒にするのぉ!?

「……半月かそこらで、あの指輪買おうと思うと、やっぱ、それなりのバイトしなきゃ無理なわけで……」

 観念した尽は、溜息をついて、話し出す。
 でも、私の目を見る事はしない。

「もしかして……夜のお仕事とか!?」

 私の言葉に、尽はビクンとする。

 え? 図星?!
 だって、あんた、まだ中学生だよ!?

「や、でも、酒とは飲んでないし! なんとうか、その、奈津美さんの知り合いのお店で……ヤバくはなかったんだよ、全然。絶対、風俗とかではないし」

 風俗って……そりゃ、当たり前でしょ!!
 でも、いつ、そんな時間があったの?

「夜、早い目に寝るふりして窓から出て行て、窓から帰ってきて……」

 あぁ、それで……様子が変だったわけね?
 で、職種は?
 まさか、肉体労働系? 工事現場とか?

「………精神労働系」

 それだけ言うと、尽は押し黙っちゃった。

 一体、何のアルバイト!?
 気になりすぎるってばぁ!!

 と、私が尽を問い詰めつづけていると、メールの着信があった。
 またもなっちんから。
 本文はなく、ただ、そこに添付されてた写真を開けたら……。

 うん?

 これ、誰?

 あらら、すごく綺麗な女の人……。

 綺麗な女の人……?

 女の、人………??

 女の………………。

 携帯画面に釘付けになって押し黙った私を見た尽、何か嫌な予感を感じたらしく、慌てて、私の携帯を奪い取って、その写真を見て……。

「あああああ、もぉ!!奈津美さんはっ!」

 絶叫した。

 綺麗な、女の人………………………………に、扮した、尽………に、見えたような……。

 呆然としながらぽそっと私が呟くと、尽は、顔を真っ赤にして……私を抱きしめてきた。
 唐突!

「ねえちゃん、忘れて。これ、見なかったことにっ!!」

 言いながら、きゅっと、きゅぅっと私を抱きしめる。
 うぅ………尽の女装疑惑はとっても気になるけど……尽の胸の中に囚われてしまって……それどころじゃなくなったりして……。
 しかも、どさくさに紛れて、というか、紛れさせようとしてるのか、キス、してくるし……って、ムードも何もあったもんじゃないけど、それでもときめいちゃうのが、恋……なのかも。所詮、恋愛初心者だし……私。
 うう〜ん、うまく尽に誤魔化されてる気もするけど……。

 再び、なっちんからのメールの着信があったけれど……携帯は尽に奪われたままで、内容は見られなかった。

 尽は、必死でアルバイトの事を隠しつづけて、あの手この手で私に問い詰めさせないように奮闘していたけど……ごめん、パソコンメールでなっちんから真相が届いてた……。

 夜のお仕事には違いないんだけど……中学生がしちゃいけないバイトなんだろうけど……なんというか……私、怒るに怒れない、よね?

 なっちんの知り合いのゲイバーで、雑用のバイトで入ったはずだったのに、ママさんに気に入られた上、ホステスにされて……しかも、将来のスカウトまでされたなんて。さらに、かなり人気があったなんて………。尽、そっちの方はノン気の人だからねぇ……むしろ、女の子大好きだし。

 うう〜ん………複雑だけれど、それもこれも私の為だったみたいだし、尽本人も、その時の事を悪夢のごとくに感じているみたいだから……蒸し返すのは止めといてあげよう。
 ちなみに、女装尽の写真は、こっそりなっちんから回してもらって、大事にしまってあるんだけど……それは、尽には内緒。
 でもって、メールにてなっちん曰く『尽は、ホステスよりもホストって感じだよね! 晴れて18になったら、ホストのバイトさせなよ! 絶対、すげぇ稼いでくるから!!』
 ……ホストって……ホストって………………ううっ、否定、できないわ……とっても似合いそう……。

 でも……やっぱり、嫌だな。尽が、他の女の人をちやほやするのは。考えただけで、胸が痛くなっちゃう。
 尽が、好き……だから……やっぱり、私だけの尽でいて欲しい、な。
 プレゼントなんていらないから、ただ、傍にいて欲しい……どんな時も、傍にいたい。
 姉弟なのに、それって、ちょっと贅沢な感情かも、ね。
 でも……本当に、そう思う。
 ずっと、ずっと、傍にいたい、って。

 幸福だけじゃなくて、嫉妬も、独占欲も、それさえも、全部、恋の感情。

 ―――そう理解できるくらい、私だって、成長してるんだからねっ。えへん。




 私が恋を自覚したクリスマスは終わり……慌しさが途切れる事なく、お正月はやってくる。

 私は、お正月はとっても嬉しいものだけれど、尽は不満そう。

 仕事がお休みの両親が、しばらく家にいるから……って、家族なんだから、当たり前でしょう!

 え? でも、私とラブラブする時間がなくなるから……って、もぉ、ばかっ!
 あ、でも、ちょっと待って。お正月に、今年はおじいちゃんのお家行く話になってなかった?

 え? 尽、聞いてない?
 おじいちゃん、あんまり体調よくないから、今年は久しぶりに帰ろうか、って。

 え? 父さん達だけじゃないのか、って? 私達も行くのよ!
 ほら、準備して、準備。
 久々に、おじいちゃんちにゴー!

 尽、尽ってば! なんで、そう、あからさまにがっかりしてるのぉ!?
 いいじゃない、おじいちゃん家も! おもち、食べ放題だよ? おせちもおいしいよ? 

 うん? 私、鈍いって……?
 そんなの、今更言われなくても自覚してるもんっ! ……って、なんで、そこで頭抱えるのぉ!? その、呆れ果てた態度は何!?

 尽ぃ!?

 尽ってば!?

 おお〜い? 尽〜〜〜???






おわり




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<言い訳とか>

クリスマスを大幅に回って、クリスマス3部作終了。
ラブラブです。
この最後の部分、予定より長くなりました。

このねえちゃん……確か、一流大学だったはずだよねぇ……
本当かな?(苦笑)

尽の女装姿……多分、かなりの美人になるのではなかろうかと。
美形男子の女装はいいですな〜(笑)。

で、お正月に続くような……でも、正月中にはUP
できそうもない気が……(^^;)。