※当サイトの100000hit記念イベントのブロックくずしゲームを
クリアすると読んでいただけたお話です。
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−−※ ねえちゃんと一緒 ※−− ねえちゃんが、俺の頭に触れる。 細くて、柔らかい指先が、俺の頭にすべり髪の毛をかき回す。 「ふふ……尽の髪って、柔らかい」 やさしいねえちゃんの吐息が、頭の上から降ってくる。 ねえちゃんの体の熱だけが、ぴったりと俺の背中に触れてくる。 もう少し体を動かしたら、ねえちゃんの素肌の感触も感じられるだろう。暖かくて、柔らかくて、滑らかで……俺とは全然違うねえちゃんの体……。 俺の目の前の湯気で曇った鏡。少し手を伸ばして、それをぬぐえば、ねえちゃんが見えるだろう。 ……いや、わざわざそんな面倒な事をしなくても、ちょっと振り返れば……。 俺は、ゆっくりと頭を振り向かせようとした……けど……。 「前向いてなさいっ。まだ終わってないわよ」 って、グキッと力任せに前を向かせられる。 痛いって、首……。 で、仕方なく、手を伸ばして鏡をそっとぬぐえば、今度こそそこに映るねえちゃんの姿が見られるハズで……ハズ、で……? いや、確かに映ったけどさ。 俺の後ろで、俺の髪を洗ってくれてるねえちゃんの姿。 で……? ………………。 「………でぇぇえええ!?」 ねえちゃん!? ねえちゃんっ!!!? ねえちゃんと言えば、姉で、姉と言えば女で、女と言えば、俺とは違ってて……。 違ってるはずなのに、なんで……なんで……胸がない!? いや、貧乳のレベルじゃなしに、胸板が厚い………? 「っ、てっ……男ぉぉぉ!? ねえちゃん、男だったのかぁ!?」 衝撃が俺を襲う。 そうして、痛みも俺を襲う。 痛み……そう、痛み。リアルな、痛み。 そりゃもう大層リアルな。 「あんたたは、何を、妙な寝言を口走ってんのよっ!」 リアルな痛みと、リアルなねえちゃんの声。 目を開けた俺の目には、服の上からしっかり分かる程度の胸の膨らみを有した、ちゃんと女なねえちゃんが映った。 「ねえちゃん……」 半分夢と繋がった意識で呟く俺に、俺の顔を上から覗きこんでいたねえちゃんは、不審気に顔を歪める。 ねえちゃん。 ねえちゃんは、やっぱり女で。 ちゃんと、柔らかい胸がついていて。 柔らかい、胸……だよな? 俺は、事実確認をするために、手を伸ばして……ねえちゃんの柔らかいに違いないその膨らみを、こう、ワシッと……。 あ、大丈夫。ちゃんと、柔らかい。肉の質感からして詰め物もしてない。ブラのパットは厚めだけど。しかも、寄せて上げるタイプ? と、俺が事実確認と緻密な分析を寝起きの頭でしていると、リアルな痛み第二段が俺を襲った。 リアルな痛み第二段は、初段の数倍強烈だった。 「こっ、この……大馬鹿ものっ!!」 スパーンと、見事に軽快な音。 頭を張られた。 夢の中のねえちゃんは、例え立派な胸筋を有していようと、優しく頭皮マッサージをしてくれてたのにっ。 大違いっ! おかげで、さすがに、俺もしっかりと目を覚ましたけどさ。 張られた頭を抱えながらソファーからのっそり体を起こした。 どうやら、休みの朝、だらだらとテレビを見ているうちにソファーで居眠りしてたらしい。 「どんな夢見てたのよ、あんたは…」 まだ顔を赤くしつつ、呆れの眼差しと口調をするねえちゃん。 途中まではいい夢だったのになぁ……。 つか、数年前にはまだ一緒に風呂、入ってたんだよな。 目の前の仁王立ちのねえちゃんをじーっと見つめて、俺は舌打ちした。 その当時、なんでもっと良く、ねえちゃんを観察しておかなかったのか、後悔だよな……ガキな俺、先読みが甘すぎるっ! 今見たなら、こう、網膜にしっかりと焼き付けた後、脳みその記憶容量が許す限り大量にコピーしまくって永久保存しとくんだけどなー。で、勿論、毎晩、記憶領域から取り出しては、その姿を眺め回したりして……。 「ん〜……で、せっかく気持ちよく寝てた俺をたたき起こして……何の用?」 まだぼーっとしながら言うと、ねえちゃんはしかめ面を苦笑に崩した。 「お風呂、一緒に入る?」 「……っ!? ……えええっ!?」 ……………………なんて、まぁ、そう都合は良くないし。 確かに一緒に風呂場には入ってるけどな。 「尽、そこもちゃんと洗ってよ!」 「……はいはい……」 これがさ、ねえちゃんの柔らかい体相手なら、鼻息も荒くごしごし洗っちゃうんだけど……風呂場のタイル相手じゃあなぁ……溜息しか出ないさ……。 「はぁ……なんで、風呂掃除なんて……」 「たまには母さんを休ませてあげなきゃでしょう? それでなくても、あんた、普段何もしないんだし」 浴槽の中を磨いているねえちゃんを横目でチラリと伺う。 ………風呂掃除の格好として、それはどうかと思うような姿だ。いや、なんというか……ある意味とても萌えるんだけどね。 ちょっと期待した水着、ではなくて……はば学時代の体操服だ。惜しむらくは、ブルマじゃない事。 なんで、なんでっ……! 最近は、どこの学校もブルマじゃないんだ!? (一部の…大多数の?)男の浪漫はどこに行った!? あれほど機能的かつ清楚で見目の良い体操服なぞ、そうそうないだろうにっ! ブルマ、カムバーック!! ……と、心の中で力説する俺などにお構いなく、ねえちゃんは玉の汗を流して、せっせと掃除に励んでいる。 「はぁ……」 色気ない……。 壁のタイルに洗浄剤を吹きかけて、ひたすらにごしごし磨き続ける。 一通り終わった頃、洗浄剤を洗い落とそうと、シャワーのカランを捻ったんだけど……。 狙ったわけではないけれど、それなりにおいしいシュチュエーションになったりした。 「きゃっ!?」 シャワーのヘッドがねえちゃんの方に向いていて、見事にねえちゃんを直撃した。 「やっ……!! もぉ!」 「あ、ごめん」 慌ててシャワーを止めて、水に濡れたねえちゃんを目にして……。 「尽の馬鹿っ」 イエス、イエス、イエスッ!! こぶしを握り締めて叫びたい。 透けてるし。ブルーのブラが見えてるし。なんか、水が滴って、ねえちゃんも色っぽい。 濡れる女。あるいは、濡れたねえちゃん。 いい響きだ。 「どうせ、濡れるとは思ってたからこの格好したんだけど……頭から濡れるなんて、もぉ!」 俺をギロッと睨みつけた後、深い溜息をついた。 「さっさと掃除終わらせちゃいましょ! それからシャワー浴びるから」 「あ、お詫びに、背中流そうか?」 「………」 俺への返事は、ひどく冷たい眼差しだった。ちぇっ。 水に濡れてぴったりと体に張り付いた体操服。ねえちゃんの体のラインをくっきり見せる。結構見栄えのする胸の膨らみも。きゅっと締まったウエストも。綺麗な背中のラインも。 ……たまんない。ぞくぞくする。 「……お、俺、トイレに……」 「ええっ? もうちょっとで終わるのに!?」 「でかい方。我慢できない!」 「尽ぃ!? ちょ、ちょっとぉ! も、馬鹿ぁっ!」 ねえちゃんの声を背中に受け、俺は駆け出した。そうするしかなかった。……だって、この状態で掃除は続けられないだろ!? ……どの状態かは、賢明に理解してやってくれ。 ……一つ屋根の下で暮らしててこれじゃ、俺、近いうちにどうにかなっちゃいそうだ。 この状態を解消する方法は、ふたつにひとつ……かもしれない。 とりあえず、己を宥めた俺は、風呂場へと戻った。 もう掃除は終わっているだろうな、とは、思った。確信犯の自覚はあった。 シャワーが風呂場のタイルを叩く水音が、耳に心地よく響く。それは、勿論、風呂場を洗い流すような音ではなく、柔らかな肌に当たった後、タイルの床に流れ落ちるような水音も含まれている。 俺は、ごくりと息を飲み込んだ。 そうして。 「ねえちゃん、ごめんな! 掃除の続き手伝うよ……!」 バスルームのドアを勢い良く開けた。 ……で。 夢の中で見た胸板のあった場所に、はっきりとした美しいお椀形の、プリンのごとくに柔らかそうな膨らみを見た。 勿論、しっかり、網膜に焼き付けたし。 プ、プリンにかぶりつきたい……と、俺が思った途端、当然予想はしていた、大絶叫に鼓膜を破られるかと思ったんだけどね。 不慮の事故。 その言葉が、見事な言い訳になってくれる事を計算しつつ、俺はひとまず風呂場は退散した。 そうして、思う。 俺のこの現状を解消してくれるだろうふたつの方法……『ねえちゃんを押し倒して、そのままラブラブになだれ込む』か『ねえちゃんを諦めるため、尻尾を巻いて家を出る』か……どちらか。ふたつにひとつ。 俺の取るべき道は、勿論、言うまでもなく……前者、だろ。それしかないだろ? そうとなれば、ふたりで風呂に入って、あの夢のようにねえちゃんにやさしく髪を洗ってもらうのも、現実の事に! そりゃあ勿論、洗ってもらうのは髪だけじゃなくてさ……! くくくく……。 夢も膨らめば、体の一部も膨らむ。 意地でも、ラブラブに持ち込んでやる。それ以外、俺の……いや、俺たちの取る道はない! ……ハズだ。 今、ねえちゃんがどう思っていようと、その好みから思考回路からを熟知した俺が、あの鈍くさ女を振り向かせるのは容易い……と、思われる。 「っっつしゃ〜〜!」 俺は、己の決意を新たに、閧の声を上げた。 いつになるか分からないが、あの夢を正夢にする為に(ねえちゃんが立派な胸板を持っていた部分は除外)、俺は邁進する、ひたすらに。ねえちゃんだけを、見つめて。 「……俺も背中を流してやるし。そうそう、不慮の事故で、手が滑り、あの柔らかそうな膨らみも洗っちゃう事になったりしたり……」 夢……というか、妄想が更に膨らみ、体の一部ももっと膨らみ。 「愛してるぜ、ねえちゃん」 俺は、現実のねえちゃんが今まさに風呂から出てきているだろう脱衣所の扉の前に立った。 次は、どんな言い訳が通じるだろうかと考えつつ。 おわり |