| 《赤頭巾ねえちゃん》 あるところに、赤い頭巾がトレードマークとなったとてもかわいい女の子、通称『赤ずきんねえちゃん』が住んでいました。 彼女のおばあさんは森の奥に独居していましたが、ある日、お母さんからおばあさんのもとへとお使いを頼まれます。 おばあさんが病気だから、焼きたてのパンとワインを持っていっておあげなさい、といったものです。 また、おかあさんは注意します。その森には、とても怖いオオカミがいるからくれぐれも注意しろ、と。 そして、赤ずきんねえちゃんは、おばあさんの家へと向かう事になったのですが、途中、森に住む尽オオカミさんと出会ってしまいました。 尽オオカミさんはまだ若いオオカミさんです。あまりにかわいい赤ずきんねえちゃんにフォーリンラブ。 ふっくらと優しい輪郭を描く頬や、触るとぷるんと揺れそうな唇、くりくりとした大きな目。また、抱きしめたら、心地いい弾力を感じられそうなその体。 尽オオカミさんは、出会ったばかりの赤ずきんねえちゃんを食べたくて仕方がなくなってきました。 けれど、いきなり襲い掛かるわけにもいきません。一応手順は心得ています。 そこで、優しく声をかけてみました。いわゆるナンパってやつでしょうか。 「ねえちゃん、どこに行くんだ? おつかいか?」 「私は今からおばあさんの家に行くのよ。もしかして、あなたは、オオカミさん?」 「俺は尽オオカミっていうんだ。なぁ、おばあさんの家って、どこ?」 オオカミが実はどれだけ恐ろしい存在か知らない赤ずきんねえちゃんは、おかあさんに注意されていたにも関わらず、素直に尽オオカミさんに答えてしまいました。 というか、赤ずきんねえちゃんは無邪気に笑う尽オオカミさんにどことない胸のトキメキを覚えたかもしれませんが。 「おばあさんの家はね、この森のずっと奥にあるのよ」 「なるほどね。じゃあ、俺もそこに行っていいかな?」 「別に構わないと思うわ」 迂闊で鈍い赤ずきんねえちゃん。この後に自分に襲い掛かる悲劇を知りません。 「じゃあ、おばあさんの家まで競争する? 俺はこっちの道を行くから、ねえちゃんはそっちの道で」 尽オオカミさんは赤ずきんねえちゃんにウィンクして颯爽と森の中に消えていきました。 赤ずきんねえちゃんは、その後姿を見て、小首をかしげます。 「どう考えても尽オオカミさんの方が脚が早そうだけど……まぁ、いいわ」 それから、赤ずきんねえちゃんは、マイペースさ全開で途中の花畑で寄り道をしたりしながら、ゆっくりとおばあさんの家に向かったのでした。 さて、赤ずきんねえちゃんより随分先回りした尽オオカミさんは、おばあさんを上手い具合にだまくらかして、おばあさんに成り代わってベットにもぐりこみました。 そして、赤ずきんねえちゃんがやって来ると、おばあさんの声音を使って……。 「あら? おばあさん、声がヘンだわ、どうしたの?」 「風邪をひいてるからね」 わざとらしく咳き込んでみます。 「それに、なんだか、おばあさん、大きくなってない?」 「年寄りにも成長期はあるものさ」 「おばあさん、肌が浅黒くなってるわ」 「最近、ガーデニングが楽しくてね」 「白髪だったはずなのに、綺麗でさらさらの髪の毛になってるのね?」 「最近のアート○イチャーは良くできてるせいかな」 赤ずきんちゃんがそっとおばあさんに扮した尽オオカミさんの髪にさわっと触れた瞬間、尽オオカミさんは顔を上げました。 赤ずきんねえちゃんは目を丸くします。 「お、おばあさん? どうして、そんなに格好良くなってるの?」 尽オオカミさんはニヤリと笑いました。 「それは、おまえを食べるためさ!」 「きゃあああっ!?」 がばっとね。 「やっ……あぁ……やめてぇ……」 「ああ、ねえちゃん、すげぇイイ……」 「あ、尽ぃ、ソコだめぇ……。やぁん」 「ねえちゃん、ねえちゃん……っ!」 さてさて、尽オオカミさんは赤ずきんねえちゃんを思う存分貪り食い、その後、満足して疲れきって深い眠りに落ちました。 その時、丁度傍を通りかかった王子様がいたそうですが……カーテンの引かれていない窓越しに見えた光景に、赤面してそのままお姫様探しに戻ったとかなんとか。あ、待ち合わせの教会に向かう途中だったのですか? 窓越しに王子様が目にしたのは、気持ち良さそうに眠る尽オオカミさんと、そこにぴったり寄り添っている赤ずきん……いえいえ、今は頭巾も何も身につけていない、ただのねえちゃんだったとか。 ちなみに、おばあさんは、お友達の猟師さんのお家で夕食をふるまわれていたとかなんとか。 ※※めでたしめでたし?※※
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