※この二次創作小説についてとオリジナルキャラ紹介
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| <オリジナル話・9> Ange et Diable【2】 「んっ・・・はぁ・・・、っくん、」 珍しく鳥貝が乗り気なのは百合子の重ねられる甘い言葉が功を奏している為か。 百合子の上に跨って、しどけなく腰を震わせる。 鳥貝の強固なはずの理性の鍵の開け方を、百合子は知っている。 伝わる身体の熱や触感からだけでなく、視覚からもくる快感に百合子は普段以上に息を乱す。 白い下着はそのままだ・・・いや、違う。ブラは隠されたボタンを外せば胸を覆うカップが外れて胸の輪郭をなぞるワイヤーだけが残る仕掛けになっていた。ワイヤーにはレースの装飾がされ、殊更胸を強調する形になる。ショーツは勿論はいたままである。白い下着に直接、百合子のそれが差し込まれて出入りを繰り返している。 「ほんと、淫乱だ・・・、」 それが、嬉しい。 何しろ彼女をそういう風に乱れさせるのも、また彼女の乱れた姿を見るのも、全て百合子だけの特権なのだから。 淫乱な女は好きじゃない。けれど、鳥貝が・・・このうえなく愛する女が、自分の腕の中で淫乱になっていくのは、至上の快感。 白い下着を身につけたまま、鳥貝は百合子の上で身をくねらせる。 「も、ばかっ・・・、」 百合子の言葉に、反応しながらも、動きは止めない。 気持ちいいのだ。 自分の中にある百合子の質感が、心地良い。それが、自分を蹂躙していくのが・・・幸せだ。 硬い百合子自身が自分の内側の肉襞をこすりあげ、何度も奥を叩く。奥を叩かれるたび、きゅんとした快感が全身を走り、脳内が空白になる。 それから、時々漏れる百合子の甘い喘ぎ、囁かれる言葉、全てに全身が震える。 この快楽の味を覚える前は、この行為は痛さを伴う、彼とひとつになれる幸せを感じる為だけのモノだった。 この行為を身をもって体感する前は、知識上、単なる生殖行為でしかなかった。 でも、今は・・・百合子の云う通り、淫乱になっているせいか、行為そのものが気持ちよくて、幸せなになっている。 「春海・・・、」 熱気をはらんだ声で呼ばれる。 それだけで、ぞくりとする。 百合子を愛しているからこそ、この行為は気持ちよくて幸せなのだ。 「百合子さ、ん・・・、」 上体を倒して、百合子の上に覆い被さる。頭を抱えて、キスを繰り返す。 突き出された舌に吸い付くようなキスをする鳥貝は、普段の彼女からは想像できないくらい・・・淫乱だ。 百合子が好きでたまらない。 この行為をもっと続けたい。 百合子をもっと感じて、百合子にもっと感じて欲しい。 鳥貝の頭の中には、今それらの欲望しかなかった。 だから、部屋をノックされたのにも気付かず・・・また後悔を重ねる。 安羅と白熊はほぼ同時刻に寮についた。 いつもなら、夕食の良い匂いがしている時間だ。 台所には大抵鳥貝がいて、夕食を食べ終えて、その後片付けをしているか、明日の朝食の下準備をしている時間。 いつもいるわけではないけれど、いない時でも夕食の準備はきちんとされていた。 なのに。 明かりの灯っていない居間、台所。 そこに人の気配はなく、夕食を作った痕跡もない。 不思議に思って玄関の靴入れをみれば、鳥貝の靴と百合子の靴がある。 「つまりは・・・、」 白熊が苦笑いする。 「そういう事?」 安羅が肩をすくめ、眉根を寄せた。 「どうせ、百合子のヤツが無理矢理春海ちゃんに襲いかかってるんだろ。・・・まったくあの性悪男が、」 お腹が空いていた事もあって、安羅が悪態をつく。 帰ってきたら、鳥貝の笑顔と美味しい夕食が待っている、と思って寮に足を踏み入れた・・・結果の肩すかしに、立腹しないわけがない。 「だいたい、あいつは春海ちゃんの扱いがぞんざいすぎる。嫌がっていても平気で手を出すし、彼女に意地悪ばかり云って困らせる。惚れてるなら、もっと大事にしてやるもんだろ?」 怒ったような足取りで歩き出す安羅に白熊が「どこへ?」と声をかけると、指を上に向ける。 「・・・邪魔するよ?」 「あのバカに、一言云わないと気がすまない。」 珍しく憤った勢いのまま2階に向かう安羅を、白熊は溜息をついた後、追いかけた。 何かトラブった時、仲裁役は必要だろう、と。 男たちの関係性は、夏目がいた頃からそれぞれのスタンスがある。 百合子が馬鹿な事をやらかした時は、大抵夏目がそこに介入して事態を収拾していた。 けれど、夏目という舵取りがいなくなった百合子を止めるのは、結局一番の世話焼きの安羅になった。 もちろん、鳥貝が現れてからは、鳥貝が自然とその役を担うことになっているのだけれど・・・鳥貝自身が被害者では、どうしようもない。 憤っていても、礼儀を知っている安羅は部屋をノックする。 ここで百合子の声が返ってきたら、そのまま怒鳴りつけてやろうとも思ったのだけれど・・・返事はない。 「春海ちゃん?」 声をかけても返事はない。 まさか何かあったのか、それとも単に聞こえないほど行為に夢中になっているか・・・。 とふと考えて、後者が正しいと思いつつ、治まりがつかない憤りと膨れてきた好奇心に誘導されて、鍵のかかっていなかったドアをそっと開けた。 途端に耳に入ってくる小さな声・・・鳥貝の声・・・普段は聞いたこともない、甘い息づかい。 「・・・っ、んっ・・・・んっ・・・、」 それから、ベッドの軋み、肌と肌がぶつかる音・・・まさしく、最中だった。 「やっ・・・百合子、さん・・・っ、んっ、気持ちイイ、」 ドアの隙間からベッドがわずかに見え、薄暗い部屋のベッドの上に、白い下着を身につけたまま百合子に跨っている鳥貝を目にして、慌ててドアを閉めた。 「・・・っ、」 息を止める。 自分自身の行為はともかく、人の行為、しかも妹にも等しい、普段は真面目で無邪気な女の子の攻めるそれを目にして、顔を赤らめずにはいられなかった。 しばらくドアの前で固まって・・・・。 「顔、真っ赤だぞ・・・珍しい。」 からかうような白熊の声で、やっと大きな溜息をついた。 「まったく野暮だった。・・・夕飯、どうする?」 「今日はあと多飛本だろ? 茹でて缶詰をかけるパスタくらいなら、すぐに作れる。・・・じゃんけん勝負でいいか?」 1時間ほど後、 上機嫌に百合子が階下に降りてきた。 機嫌の良い理由なんて、聞くまでもない。というか、聞きたくもない。 居間でそれぞれ書類と本に視線を落としていた白熊と安羅は、一瞬だけ百合子を見た後、すぐに再び元の姿勢に戻った。 「・・・おまえら、夕飯どうした?」 「・・・パスタ作って食べたよ。おまえはともかく、春海ちゃんには何か食わせてやれよ?」 「ソースの缶詰はまだあるし、パスタを茹でるだけだ。たまにはおまえが作ってやれ、」 「はぁい、」 軽く返事をして台所に向かう百合子の後で、とたとたと急ぎ足で階段を降りてくる音。 むろん、鳥貝だ。 「ごめんなさい、夕食の準備できなくてっ! 何か食べられましたか?」 ごく普段通りの鳥貝である。 少し前に垣間見た情事の後は感じさせない。 けれど、安羅はつい反応してしまった。先ほどの姿と今の鳥貝のギャップが大きいだけに。 顔を赤くして、思わず顔を背けてしまう反応に、鳥貝は小首をかしげた。 「ぼくたち食べたから。多飛本の分も一応用意してある。君の分は、百合子が今・・・、」 突然台所から何かをひっくり返すような音がした。 鳥貝ははっとして、そちらを見て顔をしかめる。 「百合子さんが台所に立つと、ロクな事がないんだからっ!」 そのまま小走りに台所に向かってしまった。 後に残ったふたりは・・・白熊が安羅を見てからかうように笑う。 「珍しい。女性経験からしたら、百合子よりおまえの方が上だろ? 何を見たんだ?」 「・・・。・・・攻める春海ちゃん。」 「ふぅん。彼女上位ってわけ? あの子でも、そういう事するだ。」 「彼女、純粋だからな、百合子に色々吹き込まれてるんだろ。」 少し険の含まれた云い方に、白熊は笑う。 「恋人同士だからいいんじゃない? あの様子だと、無理やりやらされているわけでもないだろうし。春海ちゃんは百合子に意見をしっかり云える子だ。」 確かに、台所から百合子を怒る鳥貝の声が聞こえてくる。そして、それに悪びれることなく対応する百合子の声も。 安羅は息を吐き出して、胸元を押さえる。 「いや・・・もう、なんとういかまさしく兄の心境だったよ。」 「そりゃ、仕方ない。夏目の忘れ形見の、大切な妹だ。」 「夏目ならこんな時どうしたと思う?」 「・・・そりゃあ、ほぼおまえと同じ反応じゃない? で、春海もユキも大人になったんだなぁ、とか年寄りくさく呟いてそう。」 ふたりは小さく笑った。 台所からは、鳥貝と百合子の言い争う声が聞こえてくる。いつも通りの痴話喧嘩だ。 強く惹かれ合っているふたり。心は勿論・・・肉体さえも。 周囲も認めるそんなふたりだから・・・きっと、こんな関係はこれから先しばらく、続いていく。 「安羅だろ、部屋に来てたの?」 「・・・気づいていたか。のぞき目的じゃないぜ。」 食後、居間にやってきた百合子が云う。さして気にしていない様子だ。 「どうせ、おれが春海をいじめてるとか思っての偵察だろ? 残念。今日はおれががんがんに攻められた。スイッチの入った春海はすごいぜ。エロいし、カワイイし・・・淫乱だし、」 百合子がどこか自慢げに語る・・・その背後の殺気に気づかないのは百合子本人だけ。 安羅と白熊が胸の前で祈るような手の形をしたのを見て、やっと気づいて振り向こうとして・・・そこで何が起きたかはご想像に・・・。 翌日、両頬を真っ赤にした百合子がキャンパス内で話題になったとか。 その後の鳥貝と月成のメールのやりとり。 『黒い方のは確かに可愛かったですし、着け心地もよかったです。でも・・・お気持ちは嬉しかったんですけど、二度と、ああいうの送ってこないでください。』 『という事は、使ってくれたのね。有効利用してくれたみたいで良かった。あのシリーズ結構評判いいのよ。カワエロって。ね、今度新作のモニターになってくれない? 無料で色々送るから。感想聞かせてくれるだけでいいの。』 『リオさん、人の話読んでますか?』 『ああ、そうね、じゃあ、ユキの方に送ればいいか。どのみち、使うのはふたりでですもの、どちらが受け取っても構わないわね。』 『そういう事じゃないです。ああいうのは、百合子さんが喜ぶだけですから、わたしには不要なんです。だから、申し訳ないんですけど、わたしにも百合子さんにも送って来ないでください。』 しばらく間があった後に、電話が直接かかってきた。 「はぁい。今大丈夫? わたしは今、会社にいるの、前に行ったでしょ、斎のお姉さんの所。そのシリーズの打ち合わせ前。」 「大丈夫ですよ。もう寮に帰ってきました。あのね、リオさん、」 「先に送ったものに関しては、ユキから感想もらってるから♪ 『普段は大人しい彼女が、この下着を着ける事でいつもよりも大胆に激しくなって驚きました。白くてエロティック。それが興奮を誘うのかも知れません。是非また利用したいです(20歳 大学生・男性)』・・・コメント使わせて貰うわ。」 「はっ!? ちょ、なんですか、それ!?」 「雑誌掲載用コメント。女の子向けの雑誌に載せるのよ。『女の子だって、Hを楽しみたいの♪女の子のキュートでセクシィーなラブグッズ登場』、って感じで。10代後半から20代の女性向けよね。」 「リオさん!?」 「売れるわよ、きっと。あ、改良した方が良い部分とかあったら教えてね? ユキ曰く、カップのボタンが少し外しにくかった、って。目の細かいファスナーとかの方がいいかしらね。でも、ファスナーだと着け心地が悪くなるし・・・、」 ぶつぶつ云い出した月成の耳に鳥貝の言葉は入っていない模様。 「リオさん、あのね、本当にね、」 「悪魔の方はもっと可愛らしげに作ろうかしらね、形状だけセクシーにして、黒にピンクのリボンを・・・、ちょっと野暮ったいかなぁ、でも私、アニマル柄は嫌いなのよね、」 「リオさん、リオさん、話聞いてますか!?」 「・・・ああ、ごめんなさい。もうミーティング始まるから、また今度ね。普通のカワイイ下着も作ってるから、それも送るわ、ユキの方に。感想だけヨロシク♪」 「リオさん!? ちょ・・・、」 携帯は、切れた。 片手に携帯を握りしめ、寮の玄関前で呆然とする鳥貝。 百合子ひとりを相手にするのでも十分に大変なのに、月成と百合子のふたりが鳥貝いじりを名目に組んでしまった場合・・・どれほどの苦労を背負い込む事になるのか、怖くて想像もできずに顔を青くする。 「あれ、春海、入らないのか?」 背後からとても聞き覚えのある声をかけられて、鳥貝は涙ながらに振り向いた。 「百合子さんのばかぁぁっ!!」 百合子と付き合うようになってから、時折聞ける鳥貝の心の叫びだった。 それから時折、思いだしたように下着の新製品が鳥貝の元に送られてくるようになり(さすがに百合子の家直送は鳥貝が差し止めた)、鳥貝は下着には困らない身分となった・・・けれど、その7割方を百合子の目に付く前に、タンスの肥やしとするため、しまい込んだとか。 「ちょ、百合子さん、またタンス漁ってる!?」 「はーるみ、なんでこんなエロい下着隠してるんだ? 下着は身につけてこそだろ? 着ろ。今すぐ。」 「っ、ヤです。」 「着るんだ!ランジェリーの神様が泣くぞ?」 「なんですか、それ!?」 「このランジェリーたちは、おまえに着てほしくておまえの手元にやってきたんだ。そう、神様の巡り会わせでな。だから・・・着ろ!」 「っ・・・絶対にイヤですぅぅ!!」 ま、これもいつもの平和なじゃれあいとなる。 つづく |