※この二次創作小説についてとオリジナルキャラ紹介
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| <オリジナル話・7> 海辺にて【8】 百合子は心地よく笑い、鳥貝に口付ける。「おれにはおまえだけだよ。・・・おれ、今はもうおまえ相手じゃないと勃たないみたいだからさ、おまえに逃げられたら、不能になっちまうな。」 云いながら、鳥貝の手を既に勃ち立ち上がっている己に導いた。 「・・・っ、ばかっ、」 鳥貝は慌ててそれから手を離すと、顔を真っ赤にしてそっぽを向く。 本当は・・・百合子のそれを愛撫したいと思うくらいに彼を愛しく思っているけれど、自分から行動を起こすには、鳥貝はまだ羞恥心が強すぎた。 でも・・・今は。 今日起こった様々な事を思い浮かべる。 そして、改めて、百合子の事が好きなんだと・・・愛していると実感した。今日くらいは、素直に彼を求めたいと思う。 だから・・・そっと手を伸ばして、触れた。 「っ、春海・・・?」 「今日は、その・・・わたしから、します、」 上半身を起こして、百合子のそれをそっと握り締める。 熱くて、硬くて・・・脈打っている。 これも、百合子の一部。 普段目にする事はないけれど・・・マトモに見たことはないけれど、時々、百合子の求めるままに愛撫する、百合子の体の一部。百合子が自分を感じさせ、また感じてくれる敏感な器官。 百合子と付き合うまで知らなかった、男性器のグロテスクにも思える形状を薄闇の中、愛撫する。 百合子が好きだから・・・この部分さえ、愛しくて。 百合子は大人しく鳥貝にその部分を委ねている。 最初は手で、それから・・・口で。 普段、口でするのは嫌がるのに・・・今日はやけに積極的だ。 鳥貝の珍しい積極的な行動だけで、百合子はいつも以上に感じてしまう。 「・・・春海、」 快感に震える声で呼びかけると、百合子のそれに舌を這わせながら上目遣いで見上げてくる。 その眼差しに、背筋がふるえる。たまらない。 「もう、入れたい・・・、」 口でされるのも気持ちイイ。 でも、今は繋がりたかった。彼女と繋がって、抱きしめあって、ひとつになる快感を欲していた。 鳥貝の腕を取って自分のそこから引き剥がし、キスをしながら彼女の身体を組み敷く。 鳥貝はなすがままに身を委ねている。 彼女の女の部分に手を伸ばし、そこに指を入れて潤みきったその部分を感じる。百合子のそれを愛撫する事さえ、彼女には快感に繋がっていたのだろう。 「ひゃ・・・んっ、」 彼女の敏感な部分を軽く指先で弄んだだけで、かわいい声で反応を返してくるのも、たまらない。 「前戯、いらないな。すっげ、濡れてる。」 意地の悪い口調で云ってやると、眉根が寄り、唇を尖らせる。薄暗くて分かりにくいけれど、きっと首筋まで真っ赤になっているに違いない。 「・・・ばかっ、」 ふたり、愛し合っている時は、いつも以上に鳥貝の表情はくるくる変わる。笑ったり、怒ったり、拗ねたり、泣いたり、恍惚に潤んだり。 この春先、出会ってしばらくの頃は、普段からあまり感情表現に富んではいないからこそ、自分が彼女の感情を突く事で時々見せる、怒った顔や泣き顔が可笑しくて、愛しいと思った。 でも今は、愛し合っている時に見せてくれるようになった万華鏡のような表情がたまらなく好きだ。この表情の変化が見たいから、それによって彼女を感じたいから・・・性欲よりもむしろその欲求から、彼女を求めてしまう。 「好きだよ、春海・・・、」 尖らせた唇に唇を寄せ、軽くキスをする。さわり心地の良い彼女の脚を持ち上げて、押し広げるのに、抵抗の力はなかった。 百合子のなすがままになっている鳥貝は、頭の横に置いた手でシーツを握り締め、細めた瞳で百合子を見上げている。室内にある電化製品が発しているかすかな光で瞳がきらきら光っている。 いつも以上に扇情的で、誘っているようにさえ見える。 例えば・・・これが好きだけれど、さしたる愛情のない相手であったら、今この時に感じられるのは単なる性欲にすぎなかっただろう。 けれど、現実自分の体の下でそんな痴態を見せてくれているのは、何より愛している存在だから。求めてやまない存在だから・・・強い恋情と、至福を感じる。 己を彼女の入り口にあてがい、徐々に沈めていくと、彼女の瞼が閉ざされて、苦しげに眉根が寄せられて、小さな呻きに近い声が漏れる。背中が弓なりに仰け反る。 何度しても、入れる時は苦しいらしい。 そんな反応もまた、愛しくてたまらない。 ゆっくりと、最後まで彼女の中に収める。異物の侵入に微かに抵抗するように顫動する、暖かい肉の感触が心地いい。 「春海、こっち、見て・・・、」 囁くと、鳥貝はゆっくり目を開けて、はぁと吐息を吐き出す。 「んっ・・・、」 視線が合う。お互い、微笑む。 愛する相手と体温を同じくするのは、こんなにも幸せなのだ。 百合子は身体を折り曲げて鳥貝と深いキスを交わした後、彼女を揺り動かし始めた。 優しく・・・激しく、呼吸を合わせ、互いの体の律動を沿わせる。ひとつになる感覚が心地いい。 寄せては返す快感が、まるで波に揺られているようだ、と鳥貝は思う。 「・・・百合子、さん、」 呼びかけると、唇が重なってくる。くすぐるように舌が絡み付いてくる。 「好き、です・・・大好き、好きっ、」 奥深い部分を揺さぶられる快感の喘ぎに乗せて想いを吐き出すと、百合子の動きが止まり、今まで離れていた体が重なってくる。 鳥貝の胸が百合子のそれに押しつぶされるくらいに密着し、耳元に生暖かい呼気と百合子の声。 普段、自分から滅多に口にしてくれないその想いを、今は素直に口にしてくれる。それが、百合子には何より嬉しかった。 「もっと、云って。おまえの気持ち、もっと、聞きたい。カワイイ声で、おれの名前を呼んで?」 「百合子さん、好き、です。百合子さん・・・、」 「違う・・・、」 くすっと笑い、耳朶に噛みつく。 「ひゃぁ、」 全身が敏感になりすぎて、それだけでも感じてしまう。身体を震わせて、自分の中の百合子を締め上げてしまう。百合子が小さくうめいて、それから笑う。 「ゆきさと、だ。・・・百合子でもイイけど、時々は名前で呼んで。今は百合子の家にいるんだから・・・ファーストネームで呼んで欲しい、」 「・・・ゆ、ゆきさと、さん・・・、」 今まで、ファーストネームでは呼んだことがなかった。 呼びなれていないし・・・どことなく気恥ずかしかったから。 「もう一度、」 「千里、さん・・・、」 「新婚さんみたいだな、なんか、」 耳元でくすくす笑って、今度は耳の中に舌を入れてくる。 「やっ・・・、」 感じたことのない感触に、鳥貝はびくびくと震え、また同時に百合子をキツク締め上げる。 「く・・・っ、おまえ、耳もイイのか、」 はぁっ、と大きな吐息を吐いて、百合子は声を弾ませた。 「カワイイ・・・春海・・・、愛してるよ、」 「・・・千里さん・・・、わたしも、好き・・・、」 何度目になるかわからないキスをして・・・中断していた動きが再開する。 鳥貝は百合子の首筋に腕を回して抱きしめて、百合子の動きに身を任せる。 荒々しい波が襲い掛かってくる。けれど、その波は百合子が作り出したものだから。大好きな百合子と作り出しているものだから。 快感の波に身を任せて、それに呑まれて・・・最後まで。 「ゆきさと、さん、千里さん・・・っ、あぁ、ゆき、ゆきさとさんっ、」 何度も何度も名前を呼ぶ。大好きな人の名前を呼ぶ。 それに応えるように、百合子が鳥貝を揺り動かす動きが激しくなる。 「春海、愛してる・・・っ、」 何度も、何度もやってくる快楽の波に、飲まれる。 お互いを何より愛しているふたりは、喧嘩をして、仲直りをして・・・身体を重ねる毎に互いへの愛をより深める。 「っ、千里・・・さん、」 「ん・・・、春海、」 崩れ落ちて、自分の体の上に覆いかぶさる百合子の頭を撫ぜながら、鳥貝は微笑んだ。 百合子の事がこんなにも好きだ。 そして・・・思う。 百合子がもっと、もっと、欲しいと。 昼間、月成が云っていた言葉が、今頃身に染みてくる。 今日の嫉妬は、独占欲から起こったもの。百合子を自分だけのものだと思っていた心が起こした、嫉妬だった。 過去にさえ、嫉妬してしまったのだ。 百合子が、もっと欲しい。こんなにも近くにいるのに、それでも・・・まだ、欲しいと思ってしまう。 これが貪欲というものなのだろうかと、鳥貝は思う。 胸の中、彼を渇望するこの強い想い・・・自分にこんな強い欲望があるなんて、想いもしなかった。 きゅっと百合子の背中を抱きしめる。彼を全身で感じる。 「千里さん・・・、」 耳元で囁くと、百合子が鳥貝の身体を強く抱きしめてくる。 百合子の体温を感じる。鼓動を、呼吸を感じる。 それが、嬉しくて。 なぜか、泣きたいくらい嬉しくて。 「大好きです、」 泣き声で呟くと、百合子が顔を上げて薄闇の中鳥貝の顔をじっとみつめてきた。 じっと・・・何も云わずに。 それから指先で、鳥貝の髪に触れ、唇に触れ、頬に触れ・・・鳥貝の胸元にそっと頭を置いた。 しばらくそのまま・・・互いの体温と鼓動と呼吸を感じていた。 「・・・生きてる・・・、」 小さく呟く百合子に、鳥貝は吐息で笑う。 「はい、生きてます。千里さんのそばに、ずっと、います・・・、」 「うん・・・、」 ほっと息をついた百合子の、自分の胸の上にある頭を、両腕で抱きしめる。 出会ったばかりの頃、薄暗い部屋の中で毛布にくるまって肩をふるわせてしのび泣いていた百合子の事を思い出す。 あの時、百合子という横柄で高飛車な男に不快感を覚えていた鳥貝は、それでも彼のその様子に胸を疼かせた。彼を、可哀想だと思い、彼に触れて・・・抱きしめてやりたいとさえ、心のどこかで思った。 今、それを叶える。 誰より愛しいと思うようになった男を、抱きしめる。 彼の過去は手に入らない。・・・兄の生と重なっていたその長い歳月を、鳥貝は知ることは出来ても、変える事はできない。 だから、今の彼をこれから先の彼を・・・全部、手に入れたいと思う。 貪欲に、彼を欲しいと思う。 「・・・わたしは、千里さんのものです。だから、千里さんもわたしのもので、いてください・・・、」 鳥貝の精一杯の欲望を表した言葉に、百合子はくすくす笑いながら半身を起こした。 体の熱が離れる。鼓動が遠くなる。 けれど。 「ん・・・おれは、もうおまえのものだよ、」 優しい表情で見つめられて、見つめ返して・・・心はすぐ傍にあるのだと実感できる。 その実感が嬉しくて、笑うと、唇が重なってくる。 「・・・もう一回、いいよな?」 細められた瞳。甘い眼差し。 鳥貝は顔を赤くしながら頷く。 本当は自分から「欲しい」と云い出しそうになっていた。 百合子の愛撫を、身体を、その熱を・・・全身に、感じたい。 云い出したのは百合子だけれど、鳥貝も百合子の頬に手を伸ばして、口にする。 「千里さんが、欲しいです。もっと、もっと・・・欲しい、」 鳥貝の言葉に、百合子は殊更に瞳を細めて笑った。 そして、再びふたりは心を身体を重ね合わせる。 「・・・・・・春海? 寝てる?」 薄暗い部屋、ベッドの上の鳥貝は身動きしない。 近づいて、目を閉じている彼女の頭にそっとふれると、薄く目を開けて、百合子を見上げる。 「っ、ん・・・・・・うとうと、してただけです。大丈夫。もう、起きます・・・・・・、」 「寝ていていいぞ。片付けはもう終わった。皆居間でお茶しているけど・・・・・・おまえも、来るか? メロンもあるけど。」 「・・・・・・そう、でも・・・・・・やっぱり、もう少し、こうしてます。こういう状態なの、皆にばれてるでしょう。今はあまり顔を合わせたくないから・・・・・・、」 少しだけ唇を尖らせて、拗ねた口調になる。 「じゃ、このまま泊まっていくな? 奴らにはそう云っとく。何か、食べ物いらないか?」 「いりません。それより、こうやってるのが、今は、いい・・・・・・、」 云いながら、鳥貝は枕に顔を埋めた。 素肌の白い肩から肩甲骨までが優しい曲線を顕にして・・・・・・その艶めく様子に、百合子は瞳を細めて微笑む。 ゆっくりベッドに座って、百合子はくすっと笑った。 「疲れたんだな。泳いだり、長話したり、嫉妬したり、ケンカしたり・・・・・・えっちしたり。1日で色んなこと満喫したもんな。」 「・・・・・・疲れたの、ほとんど千里さんのせいですよ。」 「おれは、すごい楽しかった。・・・・・・おまえの初ジェラシー、感じられたし。ちゃんと、おれに惚れてくれてるんだって分かったからな。」 「・・・・・・そっ、そんなの、好きじゃなきゃ、こんなこと許しませんからっ・・・・・・、」 「わかってる。」 優しい百合子の言葉に、鳥貝はますます恥ずかしくなって、枕に顔を押し付けた。 しばらく、沈黙が続いた。 「・・・・・・千里さんの、匂いがします、」 「ん?」 「枕も、布団も・・・・・・、なんか、心地いい・・・・・・、」 百合子の手がそっと鳥貝の頭に置かれる。 「そりゃ、おれがほぼ毎日使っているからな。」 「ん・・・・・・、なんか、こうしてるだけで、千里さんと寝てるみたい、」 少しだけ鳥貝の声が夢うつつのように、ふわつく。 「ばか。もう少ししたら、ホンモノが一緒に寝てやるから、これだけで満足すんな。」 「・・・・・・はい、でも・・・・・・もう、」 鳥貝の声がゆらゆらと揺れる。 「春海?」 「・・・・・・さと、さん・・・・・・、」 聞き取れない言葉の後に、すぅすぅと穏やかな寝息が続いた。 「いきなり落ちやがった・・・・・・、」 百合子はくすっと笑う。 彼女が愛しくて仕方ない。 そして、自分のベッドに素肌のまま身体を預けている愛しい女性・・・・・・その光景に、ひどく胸が躍る。 何しろ、自分の部屋の自分のベッドの上に、誰かが泊まる事は初めてなのだ。 鳥貝にも云った事だけれど、これまで部屋に恋人を連れてくることはあっても、キス程度までしかした事がなかった。家族と暮らす家で、真っ当な妹がいる場所で、不道徳な事はできないと思っていたからだ。 だが、鳥貝は違う。 百合子にとって彼女は、家族とは別に、家族と同じくらいに大切な存在になっているのだから。彼女を頻繁にこの家に招いているのも、家族に彼女を認めて欲しいと思っているからでもある。その願いは百合子自身が実感するよりも前に、ほとんど叶えられているけれど。 まだ四半世紀さえも生きていない彼にとって、それはもしかすると不遜な想いなのかもしれないけれど・・・・・・彼女が彼にとっての生涯の女性だと、そう思っていた。 若い頃の「熱愛」にありがちな、燃え上がっている状態の時に感じる、一時的な高熱であるか、正直まだ判然とはしきっていないけれど、これまで繰り返してきた「恋」とはまるっきり違うのだけは確実だ。 「もう、おまえだけだよ。」 眠りに落ちている鳥貝に囁くように、あるいは己の心に確認するように、呟いて、百合子は眠る鳥貝の頬に口付ける。 ふと、窓に近づいて、ブラインドを開ける。星空が綺麗だった。暗い海に、星のきらめきが落ちている。聞きなれた波の音が聞こえる。 窓を開けると、さわっと風が入り込んでくる。昼の陽気に暖められたままの、少しぬるいけれど、肌触りの良い風に百合子は目を細め、窓を開け放つ。 より、波の音が近づく。 彼女も、自分も、母の腹の中にいながら、この波の音を聞いていた。波の音が聞こえるここで生まれた。 自分にとっては聞きなれた心地よい音色。 彼女にとっても、そうであればいいと思う。 ふたりの、はじまりの場所は、きっとここなのだから。 鳥貝が寝返りを打つ。表情は微笑んでいる。波の音に揺られて、幸せな、夢を見ているといい。 そのまま、生まれたままの姿になって、彼女の隣にもぐりこみたい、と思うけれど、それより前にする事がある。 「・・・・・・メンドクサイな・・・・・・、」 ちっと小さな舌打ちをして、けれど、しばらくすればその願望は叶う事なのだから、と百合子は諦めて階下の友人達のもとに向かった。 つづく |