※この二次創作小説についてとオリジナルキャラ紹介
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| <オリジナル話・11> Birthday〜彼女の生れた日に【3】 ストーブの灯りだけが灯った部屋に、ふたりの影が不規則に蠢いている。艶めかしい物音と共に、影はゆらゆらと揺らめいて、その輪郭をあちこちに移す。 「・・・まっ、また、こんな格好・・・っ!」 「春海ならダイジョブ。身体柔らかいじゃん。」 「そういう問題じゃなくてっ・・・恥ずかしいんですってばっ!」 「恥ずかしがらなくても、今はおれとおまえだけ・・・。だから、思う存分声を聞かせて?」 「・・・っ、やぁ!」 百合子が動き出して、鳥貝は身体をのけぞらせた。 膝立ちのまま繋がって、背後の百合子に腕を取られて、揺り動かされる。 自分の上半身の重みが、腕にかかる。痛くはないけれど、長くこの格好をし続けるのはしんどそうだ。 一度、百合子を胎内に受け入れた後、さして間を置かずに攻められていて、鳥貝の中に留まっていたはずのものが、新たに湧き出す蜜と共にぽたぽたと足下に落ちて、敷物を汚していく。 百合子とこうするのは・・・こんな格好をさせられても嫌ではない。 遠慮なく中に出されるのも、少しばかり不安はあるけれど・・・気持ちいいから、いい。何より、百合子がいつもに増して満足そうにしてくれるのが、嬉しい。 ただ・・・色々と恥ずかしいし、ちょっとばかり疲れるし。 「ひゃ、やっ、あっ、あっ、あんっ、」 百合子に突かれる度に、意味不明の言葉の欠片が喉の奥から飛び出す。 普段なら、必死で堪えるそれらを、今日は素直にはき出す。 「・・・声、かわいい・・・、」 耳元で熱い呼気と共に囁かれて、ぞくりとする。 自分に翻弄されて身体を艶めかしく反応させる鳥貝を、百合子はその度に愛しいと思う。 しばらくリズムを変えて鳥貝の中をかき回す。声の出しやすい格好だからか、百合子の作り出すリズムに合わせて、鳥貝の甘い囀りが心地良く響く。 「ゆ、りこさん・・・、」 一呼吸置いている間に、乱れた息の合間から鳥貝が声を出した。 「ん?」 鳥貝の染みひとつない白くて滑らかで、綺麗な背中を見ながら、百合子はうっとりとした声で応える。 「百合子さんも・・・ちゃんと気持ちイイ?」 「は?」 「・・・わたしばっかり、声上げちゃってるから、その・・・、」 もちろん、気持ちイイに決まっている。 男を百合子しか知らない鳥貝は無自覚なのだけれど、彼女の身体はかなりいい。見栄えも、感度も・・・百合子自身を締め付ける、その中の感触も。 そしてまた、百合子の身体と「相性」とでもいうべきものが良いのだ。 百合子の性経験からして、男同士でも、女相手でも、身体の相性を実感する事は時折あった。 それが、鳥貝に関しは特に意識される。彼女と身体の相性が最高に良いのは、運命としか云えない。 それに、百合子さん「も」とくれば、鳥貝が気持ちイイのは明白な事。 鳥貝にとっても、百合子の身体は相性がいいのだろうし・・・百合子の愛し方が巧いせいもある。 ・・・それにしても、こういう事を聞いてくる鳥貝が可愛すぎる。 鳥貝の片腕をそっと離す。 「あっ、」 バランスを崩しそうになる鳥貝の脇の下から腕を入れて、彼女の身体を支え、もう片方の腕も解放して、鳥貝の身体を自分の身体に引き寄せ、密着させて背後から抱きしめる。 「気持ちイイに決まってる。おれは、おまえの声だけでもおかずにできるんだから。」 「・・・おかず?」 まだ、そういう意味を把握しきらない鳥貝に、百合子はくすくす笑う。 「・・・ホント、かわいすぎ・・・、」 背後からきゅっと抱きしめて、耳にキスをする。 「んっ、」 鳥貝の柔らかい身体がふるっと震える感触が、たまらなくいい。 動きにくい体勢だから、かすかに腰を蠢かしながら、鳥貝の首筋の滑らかな肌の質感を唇で堪能しつつ、柔らかな胸を愛撫する。 その動きをもどかしく感じるのか、鳥貝が自分から腰を使ってくれるのが、またイイ。 「・・・春海も、ヤラシくなったな、」 低い声で囁くと、鳥貝は軽く頭を振って、息を吐き出す。 「んっ、だって・・・百合子さんに、もっと気持ち良くなって欲しいし・・・なりたいから・・・、」 理性の強い鳥貝が性に溺れることはない。 けれど、こうしている時だけは、百合子からの快楽を求めるだけではなく、自ら快楽を追ってくれるようになった。 自分の腕の中でだけ淫乱になってくれる鳥貝が、たまらなく愛おしい。 「・・・セックスに、溺れるなよ?」 分かっていながら、そう云ってやると、拗ねた声が返ってくる。 「おっ、溺れてませんっ。・・・百合子さんを、感じたいだけですから・・・、」 相手が百合子だから、自分から腰を振るのだと云う。 なんて、かわいい。なんて、愛しい。 かつては自分だけに操を立てる存在なんて、鬱陶しいだけだと考えていた。恋人の契約がそれであるかのように、他の相手との交渉を否定し、否定される。そんな相手はごめんだった。 けれど、彼女は特別だから。他の男の腕に抱かれる彼女なんて、あり得ないから。 心も、身体も、全て、自分のためだけにあって欲しい。 だって、彼女はこれから先ずっと、自分のそばに居続ける存在なのだから。・・・もう、自分の一部なのだから。 彼女は自分のためだけに設えられた唯一無二の特別な存在。 「じゃあ・・・もっと気持ち良くなろうな?」 くすっと笑いながら鳥貝の耳元で囁くと、その片腕を取って今度はそっと上半身を前に倒させる。 「・・・っ、」 鳥貝は、もう片腕を敷物の上について・・・次の体位は決定した。 「・・・後ろから、いっぱい気持ち良くしてやるからな?」 「・・・っ、もう、ばかっ!」 云いながらも、嫌がるわけではない。 百合子も鳥貝、こうして何度も互いを感じあった。 何時頃だろうか。 抱き合ったまま、毛布にくるまって寝ていた鳥貝は、物音で目を覚ました。 ふたりでお風呂に入っていた頃の時間しか覚えていないけれど・・・多分、まだ朝までは遠い。 疲れ切ったままの身体とぼんやりする頭が、ふたりが眠った刻からさして間がないのだと理解させた。 自分を抱きしめたまま、百合子は深く眠っているようだ。小さな寝息が頬に当たって心地良い。 長いまつげを閉ざした、眠る整った顔は、造り物めいて見える。けれど、頬に差す赤みや乱れて額や頬に掛かる髪の毛が彼が生きているのだと、伝える。 枕を一緒にするようになってからの最初の頃は、彼が生きているのだと、今が夢じゃないのだと確かめるように、その呼吸や鼓動を感じようとしていた。 でも、今はもう・・・彼の存在は確かなものなのだと、意識の奥に根付いている。 愛しい男の無防備な寝顔に鳥貝は幸福に微笑む。 居間であるこの部屋の遠くの壁に、時計がある。頭を巡らせて、薄暗がりの中に目を凝らして見て、深夜1時を回った辺りだと知る。 薪ストーブは赤々と燃えたままだ。お風呂に入る前に、百合子が多めに薪をくべていた。 ぼんやりと辺りを見回した後、百合子の寝顔を改めて見つめて幸福に浸り、物音は野生の動物でもやってきたのだと決めつけて再び瞼を閉ざそうとしたけれど。 コツン、コツンと、規則的に窓が叩かれる音がした。すぐ側の窓だ。 きっと動物では、ない。 鳥貝は百合子を起こさないようにゆっくり身体を起こして、注意深くそちらの窓を見た。 泥棒の類が、こんな風に窓は叩かない。 幽霊の存在を世間一般で怖がられている類の話としては信じない鳥貝は、ガウンを羽織って身構えた。 もしも、自分だけで対処できるなら、気持ちよく眠っている百合子を起こす必要はないと思って。 コツン、コツンと再度窓は叩かれて、声がした。 「ユキか春海ちゃん、起きてないか?」 大声ではなく、潜むような声。 聞き覚えのあるその声と口調に、鳥貝は警戒は解かなかったものの、その人物が誰であるか判断して肩の力を抜いた。 窓に近づいて少しだけカーテンを開ける。 白い雪が僅かに闇を照らす薄暗がりのガラスの向こうに、苦笑いを浮かべた男・・・この別荘の持ち主である中ノ瀬がいた。 「・・・どうして、ここに?」 あまり愉快ではない気持ちで問いかけると、中ノ瀬は玄関の方向を指し、震えるような仕草をしてみせた。 本当は入れたくはないけれど、ここの持ち主の男を邪険に追い払うわけにはいかない。 鳥貝は不承不承に、玄関に回って鍵を開けた。 スリッパを勧められず、玄関先で対応される事に男は別段何も云わず、その場で口を開く。 「こんばんは。こんな時間に悪いね。今日はこっちに用があって来ていて、今更ながらこれを用意するのを忘れたと思って、寄らせて貰った。・・・って、そんな嫌そうな顔しなくても、泊まらせてくれとは云わないさ。知人の別荘に宿泊予定だからな。」 知人のニュアンスに、妙なものを感じる。おそらく、愛人とか情人の類だろうと鳥貝は不快に思う。 これ、と云って差し出されたのは、ケーキの箱のように見えた。思わず受け取ってしまう。 「19歳、おめでとう。ディナーは届けさせたけど、ケーキがなくて寂しかったろ?」 屈託ない笑顔だった。 この男の事が嫌いな鳥貝でも、釣られて笑みになってしまう。 「ケーキは昨日自宅で食べてます。・・・でも、ありがとうございます。明日いただきます。」 用はそれだけだろうか。 大人で腹黒いだろうこの男がそれだけの用でわざわざ深夜にここまでやってくるだろうか、と鳥貝でさえ思う。 軽く頭を下げてから、中ノ瀬を見上げると、意味ありげな笑みを浮かべていた。 「ユキは、寝てる?」 「・・・はい。だから、起こさないでください。」 「寝顔くらい見せてもらえないかな?」 「・・・。」 鳥貝がわざとらしく嫌な顔をするのを、男は意に介さない。むしろ、嬉しそうに笑う。 その笑顔が、怖い、と鳥貝は思う。 そして・・・思って、すぐに身体を動かさなかった迂闊な自分を、憎らしく思う。 腕を取られて引き寄せられ、転がるようにその胸にぶつかって、抱きしめられた。 ケーキの箱が床の上に落ちて、転がった。 「かわいい恋人を、こんな時間に、こんな男とふたりきりにするなんて・・・愚かな奴だな、」 声を上げようとしたけれど、大きな手で押さえ付けられていた。 百合子の力にさえ敵わない鳥貝が、体躯の良いこの男に敵うわけがない。 口を塞がれたまま壁に押しつけられた。板張りの壁とはいえ、冷えた玄関先のそれの冷たさが背中に感じられ・・・鳥貝はぞくりとする。 男の手がガウンの足元の合わせを割って入り込んでくる。 怖い。 どうにか逃げなければ、と暴れてみたところで、男の力には太刀打ちできない。 あの時・・・昨年のクリスマスにこの男にレイプまがいの事をされた時の恐怖が蘇って、涙が零れる。 男の冷えた大きな手が鳥貝の太股を下から這い上がってきて、内腿なぞり・・・下着をつけていない鳥貝のその部分に触れた。 「・・・っ!!」 びくりと身体を大きく震わせた、恐怖のために。 前置きなく、指がいきなり差し込まれた。 「・・・まだ、乾いていないみたいだ・・・、」 低い笑い声が耳を打つ。 男の指が、鳥貝の中で遊ぶ。肉壁をぐちゃぐちゃにかき回されて、淫猥な音が漏れる。 何度も繰り返された百合子との行為によって、鳥貝の中にとどまっていた大量の体液が、太股に流れ落ちてくる。 百合子以外の男に・・・しかも、大嫌いな男にそういう事をされて、嫌悪感しか感じない。涙がぼろぼろとこぼれた。けれど、もう、抵抗する気力はなかった。 「ユキに散々中出しされたんだな。ほら・・・、」 怖くて、男を見るのが嫌で、目をふさいでいる鳥貝の頬に、男の濡れた指先がこすりつけられた。 鼻に、嗅いだことがあるより強い異臭が届く。・・・百合子の体液と、自分のそれが混ざり合った匂いなのだと、分かる。 「んっ・・・、っ、」 屈辱的なことをされている悔しさで、塞がれた口から嗚咽が漏れる。 百合子は、すぐ近くにいるのに・・・助けを求める事もできず・・・自分の無力さが、迂闊さが・・・悔しい。 この男とふたりきりにならないように、百合子からも云われていたし、自分でも分かっていたハズなのに・・・。 「ユキがあんな幸せそうな声であんな甘い言葉を囁くなんて、思いもよらない事だったな。それに、いちいち嬢ちゃんを気遣うってのも・・・今までじゃ、あり得ない。」 何を云っているのだろうか。 鳥貝には男の言葉がひっかかる。けれど、意味まで把握できない。 「しかも、結構アクロバティックな格好でしてたよな・・・暗くてちゃんと撮れてなかったけど。四十八手、試してるのか、あいつは。・・・いつも、あんなはしたない格好でするのかな?」 撮れる? 何を云っているのだろう、この男は。 言葉の内容を漠然と理解しつつも、その衝撃に鳥貝の頭の中が一瞬白くなる。 男は押さえていた鳥貝の口元から手を離した・・・けれど、鳥貝は衝撃的な内容に、声を出せずにいた。 男は懐から取り出したタブレットタイプの携帯を手早く操作して映し出された画像を、鳥貝の目の前に示して、笑う。 「おまえら、本当にかわいいよな。一生懸命愛し合ってるのが分かる。見ていて癒されもするし・・・意地悪な気分にもなる。・・・綺麗なものやかわいいものは、見ているだけでは満足できないタチなものでね。」 男の声をどこか遠くに聞く。 携帯の画面に映し出されたのは、かなり薄暗いけれど、はっきり分かる、ふたりの人間が折り重なって、蠢いている映像。それから・・・音と、声も、聞こえる。 『百合子さん・・・っ、も、や、また・・・っ、』『っ、いいよ、好きなだけ、イケよ、』『ひゃ、あ、んっ・・・やぁぁ・・・っ、』『・・・っ、春海、すげ・・・っ、』 間違いようもない。・・・それは、数時間前の自分と、百合子。 鳥貝は耳を塞いで、俯いて、頭を振る。 「この別荘は、何ヶ所か隠しカメラがあるんだよ。それを稼働させといた。」 「・・・っ、どうして・・・っ!」 「おまえらがあんまり可愛いから。・・・真剣に愛し合っている奴らが、愛しく思える年頃なんだよ。さて、」 クツクツ笑って男は別荘に上がり込む。 「ユキの寝顔でも見せて貰おうかな、」 鳥貝は、震えながらその場にうずくまった。 出会いが悪すぎて、ずっとこの男を嫌いだと思っていたけれど・・・今は憎いと、思った。 人を憎む感情なんて、これまで知らなかった。憎しみとはこういうものなのだと、鳥貝は初めて知った。 間を置かず、男は震える鳥貝の所まで戻ってきて、嬉しそうに報告した。 「良く眠っているな。信じられんな、あいつが人の気配に反応しないで熟睡しているなんて。元々眠りが浅い上、夏目くんが亡くなってからはほとんど眠れていないと云っていたのに・・・、」 男の言葉は耳に入っているけれど、うずくまったままの鳥貝は何も反応できない。 「嬢ちゃんのおかげ、かな。」 鳥貝の肩に触れてくる。 怖くて、あからさまに反応してしまうのを、男はひたすら面白がっている様子だ。 「きみは、なかなかの癒し手だってな? きみといると癒されるという人間がユキ含めて何人かいた。・・・おれも、癒してはくれないか?」 頑なに身動きしない鳥貝の背に腕を回して、抱きしめるようにする。 けれど、鳥貝は反応しない。 中ノ瀬は低く喉を鳴らし、声音を落す。 「・・・優しい言葉より、脅しの方がきみには効くのかな? ・・・あの映像、ネットで流されたくなかったら、おれの云う通りにしろ、とか?」 低い声音に含まれた、おもしろがる調子。どこまで本気なのか分からない。 常識・非常識、道徳・不道徳、そういったものをわきまえた上で、その境界を楽しむ男の真意を、鳥貝がくみ取れるわけがない。 「・・っ!」 中ノ瀬の言葉にやっと顔を上げる。 驚いた表情の後、激しい眼差しで彼を睨み上げる。 「脅しの方が効くみたいだな。・・・ユキが寝ている間に、おれを楽しませてくれよ?」 つづく |